以前、他人の傷をいやすことで自分の傷をもいやす人、としてユタとイタコをあげた人がいたのを思い出した。そのときは、このあたりは時代がつくる「狂気」 精神医療と社会 (朝日選書 825)の第一章・第二章的に見るとちゃんと前史として系譜にあげられそうでおもしろいなあと思ってたのだけれど。 他人を助けることは難しい。自分に力があっても、いや力があるがゆえの、他人を助ける難しさ。 力で見えるもの以上を彼女は読まないし告げない。推量でものを言わない。それは彼女が力じたいとそれを取り巻く諸々(「魔女」と呼ばれるような事態になることも含む)にふりまわされないようにと、身につけてきた処世術みたいなものかもしれない。彼女がそういう慎重さと誠実さを持っているから、周囲の人たちは彼女を受け入れる。 ……ただ、推量(とそれを行うための臨床に関する知識)が必要な時もあるんだよ、ね。それを使うタイミングをはかるのは難し