世界的にも有数のめっき技術を持つ日本電鍍工業(さいたま市)の社長に伊藤麻美さんが就任したのは14年前、32歳の時だった。 時代は「失われた10年」から、さらに「失われた20年」に突入する節目。IT関連の新興企業がもてはやされる一方、昔ながらの「モノづくり」を行う中小企業には逆風が吹いていた。そんなマイナスの場所から、会社をよみがえらせ、育て続けているのが伊藤さんだ。 日本型社会の中で、自ら組織を率い「できるところから、革命を起こしていく」。才職兼美の女性たちを描く新連載、スタートです。 先ほど、会社の受付で来訪の意を告げたら、社員の方がマイクで「伊藤さん、伊藤さん、お客さまです」と呼び出してくれました。「社長」と呼ばれていないんですね。 伊藤:社内での関係は、全然フラットなんですよ。私だけでなく、どの役職でも、全員が「○○さん」です。 社長室はあるのですか? 伊藤:いえ、事務所でみんなと同