印刷 メール 降級の藤井九段 “新鉱脈”にかける 順位戦B級1組の最終局が終わった直後の藤井猛九段(右)と行方尚史八段=東京・千駄ケ谷の将棋会館 勝ちか負けか。棋士の人生は、その残酷なまでの繰り返しだ。明快な勝負の世界で、人は何を得て、何を失うのか。遅咲きながら、17年前に革命的な新戦法をひっさげて将棋界を席巻した藤井猛九段(41)。2期連続の降級で行き詰まり、苦しみながらも、新境地を模索する。 3月17日午前0時24分、東京・千駄ケ谷の将棋会館。行方尚史八段と向き合う藤井の目は赤く潤み、駒に触れる指先は小刻みに震えていた。 順位戦B級1組の最終局。87手で、藤井は投了した。敗北は、来期、B級2組への降級を意味していた。昨春、A級からB級1組に陥落し、連続での降級。「感想戦やるの?」。投げやりな口調の藤井が「将棋としては(検討を)やりたいんだけど」と続けると、3歳下で、25年来の友人である