次女の元彼が今年も命日が近づくと来てくれる。申し訳なくて夫が「もう来なくてもいいんだよ」って言ったら、「来ます、でも最後にします」って。娘にとって本当に大事な人で、今まで来てくれてありがとうって思う。でも娘が忘れられるんじゃないかって不安になって。やっぱり亡くなった子を思うのは、夫婦2人しかいない。 宮城県石巻市の北上川のほとり。山と海に囲まれた間垣という小さな集落で、今野ひとみさん(47)は、夫の浩行さん(56)と夫の両親、そして3人の子どもたちと暮らしていた。 長女の麻里(当時18)は明るくて、いつも笑ってる子。次女の理加(同16)は夫に似てきちょうめんなしっかり者。大輔(同12)はとにかく甘えん坊。夕食の準備をしていると、「おっかあ、晩ご飯なに?」ってよく背中に抱きついてきた。夕方になると姉妹がピアノを奏でる。何げない、いつもの光景でした。 2011年3月11日。大きな揺れが襲った。