8 . ──ゲームテキストに適した文体、いわゆるゲーム文体というものを意識してお二人は書かれていますか? 高橋:僕は意識します。やはりゲームの文章は特殊なので。たとえば『To Heart』は二行に及ぶ文章を極力排除しました。狭い画面なんですが、ほとんど一行で改行です。ぱっと見長い文章だと読むのがおっくうになりますし、極力シンプルな文章で物ごとを伝えたいというのが僕の文章のテーマなので。味やスタイルよりも伝わりやすさ重視です。いかに短い文章で強いインパクトを与えるか。シンプルなワードにこそ強さがあると思ってますから。たとえば糸井重里さんのキャッチコピーなどを参考にしてます。 原田:僕はまったく逆で。センテンスをわざと装飾過多にして、それを繰りかえすことで逆にシークエンス全体をぼやーっとした雰囲気に、つまり平坦で曖昧なものにしていこうとやってます。ただ、気をつけている点としては、音で読んだとき