痛快な一冊である。端的に言うと、現役学生にとって、中谷彰宏氏の『面接の達人』を買うよりも、100倍投資対効果がいい。 企業の広報を通さず、有名企業の社員200名に500時間も取材しているだけあって、中身は濃いし、情報の精度も高い。この本を読めば、各業界の有名企業の実態を効率的に知ることができる。 えてして、本書のように会社の実情や待遇を公開する本は、単なるバクロ本に終わってしまうことが多い。ただ、本書は、批判ありきではなく、褒めるべきところはフェアに褒めている(三洋電機の陰湿かつ残酷なリストラ法を批判する一方、松下電器の温情あふれるリストラ法についても記述している)。そして、足で稼いだ情報を、マトリックスなどを使って丁寧に分析・整理しているため、知的にも充分楽しめる一冊に仕上がっている。 たとえば、「転職力が身につくか」の章では、若くしてスキルアップできる会社の条件として、「規制なし