自分にできる最高の仕事をしても食べていけるとは限らない。 この現実におもいあたる人はけっこういるのではないか。 最高の仕事と職業として通用するかどうかは別である。技術もあるにこしたことはないが、それがすべてではない。 すこし前にラジオ深夜便の『隠居大学』(ステラMOOK)の天野祐吉と小沢昭一の対談を読んでいたら「万人にわかる芸はつまらない」という言葉があった。 天野祐吉が「俳優というのも、まあ、いい加減といえばいい加減な職業ですね」といったことにたいし、小沢昭一が「はっきり申し上げていい加減です」と答える。 逆にふたりは俳優や芸人は大真面目にやるだけではいけないという。 そのあとの小沢昭一の言葉が深い。 《どこか力が抜けているところがあるのがいいのであって、「俺は俳優の道をまっとうしよう」なんて頑張ってる奴は、そんなにいい表現ができないのが多いです、不思議と》 さらに「俳優はそんなに好きじ