フィルム・ノワール ベスト50(DVDガイド) フランスの映画雑誌「レクラン・フランセ」の1946年8月号のなかでニーノ・フランクが〈フィルム・ノワール〉という言葉をはじめて用いて以来、幾多の批評家や映画史家がこの言葉の定義を試みようとしてきたが、いまだに決定的といえるような結論は出ていない。どんなものでも多かれ少なかれそうだが、このフィルム・ノワールと呼ばれるジャンルはとりわけ、明確に定義しようとすればするほどその境界がぼやけ、すべてが曖昧になってしまう不思議なジャンルだ。そもそも、これが映画のひとつのジャンルであるのかどうかも、識者たちのあいだで意見が分かれている。ヌーヴェル・ヴァーグのような歴史上の一時期に限られたひとつのムーヴメントだというひともいれば、作品の持つある種の雰囲気にすぎないというひともいるのだ。 これまで数多くのフィルム・ノワール論が書かれてきた。しかし、その多くは結