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ブックマーク / blog.goo.ne.jp/jchz (6)

  • 諸本の広がり/平家物語-妖しくも美しき―(国立公文書館) - 見もの・読みもの日記

    ○国立公文書館 平成30年度第2回企画展『平家物語-妖しくも美しき―』(2018年7月21日~9月1日) 国立公文書館の展示が好きでよく見に行くが、所蔵資料の特性から言って、やはり近世と近代が中心で、ほかの時代を扱うのは難しいだろうと思っていた。それが、今回のテーマは『平家物語』だという。平清盛(1118-1181)生誕900年を迎える記念の夏とは言え、なんという曲せ球を投げ込んでくるのか、と思った。しかも、教科書どおりの「諸行無常の武士たちのドラマ」だけでなく「その背後に暗躍する怨霊・天狗・魑魅魍魎!」にフォーカスしてくれているのが嬉しい。展示資料はほとんどが撮影可で、SNSなど積極的に拡散することが喜ばれている。 冒頭には『大臣影』(文久3年写)から平清盛の肖像。 『平家物語』のあらすじは、主に江戸時代の挿絵入り版によって紹介されている。刊年不明、全12冊の「元老院旧蔵」だそうだ(

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    hyougen
    hyougen 2018/08/14
  • 小さくて美しいもの/小村雪岱(川越市立美術館) - 見もの・読みもの日記

    〇川越市立美術館 特別展『生誕130年 小村雪岱-「雪岱調」のできるまで-』(2018年1月20日~3月11日) この特別展が見たくて、川越まで行ってきた。以前、仕事の関係で川越よりもさらに奥(秩父寄り)に住んでいたことがあって、週末に川越まで出てくると、ちょっと都会の空気に触れた気がした。久しぶりに都内から出かけてみたら、川越は思っていたより遠かった。 展は、川越市立美術館の開館15周年を記念し、川越ならではの特色のある展示を試みる「小江戸文化シリーズ」の第四弾として、川越に生まれ、装釘・舞台装置・挿絵など多分野で才能を発揮した小村雪岱(1887-1940)の展覧会を企画したものである。雪岱の回顧展は、以前にも一度、埼玉で見た記憶があると思ったら、同館ではなく、埼玉県立近代美術館で2009年の年末から開催された『小村雪岱とその時代』展だった。私はあの展覧会で、ほぼ初めて、小村雪岱という

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    hyougen 2018/02/14
  • 具体から入る/中国名言集(井波律子) - 見もの・読みもの日記

    〇井波律子『中国名言集:一日一言』(岩波現代文庫) 岩波書店 2017.11 私は電車やバスでの移動中にを読むのが大好きだ。ところが今は職住が接近しているので、毎日10分程度(片道)しか電車に乗らない。そのため、読書量がすっかり減ってしまっている。さて書は、もと京都新聞に連載された記事で、中国の名言から三百六十六を選び、1年366日(2月29日もある)に配して解説を加えたものである。1日1言、100~150字くらいの解説がつき、発言者の肖像など豊富な挿絵もあって飽きない。1言1ページの体裁をとっているので、どこを開いて読んでもよく、前後の連接を気にする必要もない。こういうは、ふだんまとまった読書時間が5分と取れない私のような社会人にとって、たいへんありがたいものだ。 中国の名言は(俗諺もそうだが)具体的な事物を用いた表現が多い。「巧婦も無米の炊を為し難し」なんて、当たり前すぎて笑って

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    hyougen 2018/02/14
  • 汎スラヴ主義の夢/雑誌・芸術新潮「秘められたミュシャ」 - 見もの・読みもの日記

    ○雑誌『芸術新潮』2017年3月号「秘められたミュシャ」 新潮社 2017.3 いまさらのようだが書いておく。国立新美術館の『ミュシャ展』は今週末までなので、ぎりぎりセーフと思いたい。第1特集は、世界で初めてチェコ国外で公開された連作『スラヴ叙事詩』全20点をよみとくためのガイドである。誌を読んでから見に行こうと思っていたのだが、年度末のどさくさに忙殺されて、結局「見てから読む」ことになってしまった。しかし、それでよかったと思っている。 誌には、「撮り下ろし」20点の写真と題材の解説に加え、『スラブ叙事詩』の舞台を書き込んだヨーロッパ地図が掲載されている。No.1「原故郷のスラブ民族」は、ウクライナ領内、ポーランドとの国境地帯になる。かと思えば、No.3「スラヴ式典礼の導入」は、現在のチェコとスロヴァキアの国境付近に興ったモラヴィア王国を描く。No.4「ブルガリア皇帝シメオン1世」は、

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    hyougen 2017/06/05
  • 萌える日本美術/かわいい絵巻(上野友愛、岡本麻美) - 見もの・読みもの日記

    ○上野友愛、岡麻美『かわいい絵巻』 東京美術 2015.5 サントリー美術館に『宮川香山』展を見に行って(レポートはまだ書いていない)、ミュージアムショップで書を見つけて買ってしまった。サントリー美術館の上野さんと、山口県立美術館の岡さんという、二人の女性学芸員によって生まれた、カラー写真満載、ソフトカバーでお値段も手頃(1,800円)な絵巻鑑賞の入門書。しかも、キーワードは「かわいい」なのである。そもそも絵巻は「かわいい」のか?という疑問に対しては、巻頭で二人の対話がいちおうの回答を返してくれている。色もかたちも、リアリズムをがっちり追求するのではなく、写実に慣れた現代人からするとアンバランスに見える表現も、かわいいことがしばしばある。いわゆる「ゆるカワ」。このへんが核心だと私は思う。 しかし、そんな考察は後回しにして、とにかくページをめくって作品を見ていくと、私の好きな「かわいい

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    hyougen 2016/03/09
  • 講演・契丹!草原王朝はこんなに凄かった(芸大美術館) - 見もの・読みもの日記

    ○東京芸術大学大学美術館 講演会『契丹! 草原王朝はこんなに凄かった』(講師:市元塁、7月21日14:00~) 同館で始まったばかりの『草原の王朝 契丹-美しき3人のプリンセス-』(2012年7月12日~9月17日)の見どころを紹介する記念講演会。私は、2011年秋に、この展覧会が見たくて九州国立博物館まで行ってきた。九博が開館以来、6年かけて準備してきたというだけあって、熟成した「愛情」の感じられる、気持ちのよい展覧会だった。この日は、九博研究員の市元さんの講演が聞きたくて出かけた。 開始時間にちょっと遅れて会場に入ったら、いきなり「広開土王碑碑文では…」という講師の声が聞こえて、えっと耳を疑った。永楽5年(395)条にある「稗麗」は契丹のことだと話している。そんなに早い記録が残っているとは…。 一般に「契丹」という名称が歴史に登場するのは、907年あるいは916年の耶律阿保機による建国

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