JR東京駅のホームで面識のない女性を線路に突き落としたとして、殺人未遂罪などに問われた大阪府富田林市の無職、太田周作被告(25)は4日、東京地裁(井口修裁判長)で開かれた裁判員裁判の初公判で「間違いありません」と起訴内容を認めた。弁護側は「責任能力は争わないが、コミュニケーションが苦手などの発達障害があり、低下した状態だった」と刑を軽くするよう求めた。 6日まで3日連続で審理し判決は9日。5日は捜査段階で精神鑑定した医師の証人尋問を行う。裁判員裁判で精神鑑定医の尋問が行われるのは初めてで、鑑定結果を分かりやすく説明できるか、裁判員がどう判断するかが焦点になる。 検察側は冒頭陳述で、就職が決まらず自暴自棄になった太田被告が「東京・秋葉原や茨城県土浦市の無差別殺人事件のような大きな事件を起こして死刑になろう」と考え、知人がいない東京に向かったと指摘。カッターナイフを持って秋葉原や新宿に行った後
島根県津和野町で昨年5月、有田喬(たかし)さん(当時81歳)とツルミさん(同76歳)夫妻が殺害された事件で、殺人罪に問われた孫の無職、有田直樹被告(24)に対し、松江地裁は22日、懲役30年(求刑・無期懲役)を言い渡した。被告は捜査・公判段階の2回の精神鑑定で発達障害と診断されており、責任能力の程度が争点だったが、吉井隆平裁判長は「障害は犯行に影響があったが、社会的に強い非難を受けることを理解していた」と完全責任能力を認めた。判決によると、直樹被告は昨年5月22日、同町の自宅で、喬さんとツルミさんを包丁やカマで刺すなどして殺害した。 検察側は公判で「動機は祖父を殺害することで父親を社会的な非難にさらすというもの」などとして責任能力があったことを強調。弁護側は心神耗弱を主張していた。 吉井裁判長は判決で、動機について「父に対する強い不満を抱き、殺害の対象を父から祖父母に変えている」と指摘。そ
昨年5月に津和野町で起きた祖父母殺害事件。22日に松江地裁であった判決で、吉井隆平裁判長は「極めて悪質で刑事責任も重大。長年慈しんできた孫から突然無残に命を奪われた祖父母らの驚きや無念、苦痛は察するに余りある」と、有田直樹被告(24)を厳しく断罪した。有期懲役刑では最高刑となる懲役30年の判決に、有田被告は静かに耳を傾けた。 白と灰色柄のセーター、ベージュのズボン姿で入廷した有田被告は、椅子に座って足を組み判決文を聞いた。「被告人を懲役30年に処す」という吉井裁判長の判決に有田被告は一言、「分かりました」と答えた。 判決で、吉井裁判長は、社会不適応などから挫折体験を繰り返し自らの将来に対する不安を覚えていた一方、父や祖父らから大学の退学や町役場への就職など意に沿わない行動を求められ、強い不満を抱くようになったと指摘。そのうえで「父らの対応は適切さを欠いていた面があるものの、被告人の将来を案
広く使われている抗うつ剤「パキシル」を服用した妊婦から生まれた新生児について、先天異常を含む副作用被害報告が8年間で約30件あったことが、民間医薬品監視団体「薬害オンブズパースン会議」(代表、鈴木利広弁護士)の調査で分かった。同種の他の抗うつ剤と比べ報告数が突出しているとして、同会議は近く、厚生労働省と販売元のグラクソ・スミスクラインに、実態調査と添付文書の改訂を要望する。【清水健二】 パキシルは00年11月に国内で発売され、07年の売上高は抗うつ剤でトップの約500億円。同会議によると、08年度までに国に寄せられた副作用報告に、新生児の心臓の一部が欠損する先天異常が7件、生まれた直後にけいれんや呼吸困難などを起こす「新生児薬物離脱症候群」が21件含まれていた。流産や子宮内胎児死亡の報告もあった。他の抗うつ剤では、先天異常の報告はなく、離脱症候群も同期間で数件という。 米国では05年12月
19日午前9時40分ごろ、愛知県美浜町北方の「戸塚ヨットスクール」の男性コーチから「人が3階から飛び降りた」と110番があった。県警半田署によると、同スクールの寮西側通路で入所者の女性(18)が倒れているのが見つかったといい、病院に搬送されたが死亡が確認された。自殺とみて調べている。女性は16日から入所していたという。 同署によると女性は直前、コーチ1人と別の入所女性1人の計3人で、地上3階建ての寮の屋上で布団を干していた。作業中に約1.5メートルのコンクリート製の屋上のへりを乗り越え、西側路上に転落したらしい。同スクールは戸塚宏校長が情緒障害児に効果があるとして76年に美浜町に開設したヨット訓練校。【福島祥】
新型インフルエンザの感染が拡大し、4日までの1週間の患者数は33万人(厚生労働省)と最多を記録した。19日からは順次ワクチン接種が始まるが、さまざまな情報が飛び交い、解消しきれない疑問も多い。ワクチンからマイタケまで、専門家に素朴な疑問をぶつけてみた。【山寺香】 【Q1】新型インフルエンザワクチンを接種すれば安心? 【厚生労働省結核感染症課】 季節性ワクチンと同様に発症や重症化を防ぐ効果が期待される。しかしまだ、新型ワクチンの効果を示す明確なデータは無い。接種しても感染の恐れはあるが、重症化する割合が下がり、同時期に重症患者が大量に発生しにくくなれば、医療機関の負担軽減にもつながる。 【けいゆう病院、菅谷憲夫・小児科部長】 新型ワクチンを打てば感染を完全に予防できるというのは誤解。ワクチンは既に持っている抗体を強化する。多くの人が抗体を持たないとされる新型では新たに抗体を作り出さなければな
◇透明なシステムへの努力 日本ではほとんど報道されなかったが、先月イギリスで、ある連続殺人事件の記事がメディアをにぎわせた。事件そのものは5年以上も前で、犯人も逮捕されている。そんな古い事件が、なぜ今になって注目されたのだろうか。 事件を起こしたのが精神障害者であり、その背景に治療システムの不備があったことが明らかにされたためだ。 3件の殺人で起訴されたピーター・ブライアン無期囚は、統合失調症を罹患(りかん)していた。 1993年、彼は20歳の女性店員をハンマーで撲殺し、ランプトン保安病院に収容された。8年後の2001年、ブライアン無期囚は退院を認められ、コミュニティケアを受けるべく簡易宿泊所での生活をはじめた。しかし02年、彼は17歳の少女に暴行して開放病棟に再び入院となる。 04年2月、第2の事件が起こった。病棟を抜け出したブライアン無期囚が、45歳の知人を殺害し、遺体をバラバラにした
◇「いつ、どう伝えたら」悩む親、医療現場 重い事実、求められる心のサポート 一昨年9月、西日本で一人の医学生が自ら命を絶った。自分に性分化疾患があると知って間もなくのことだった。悲しみの中にいる父親が「あの子が生きた証しを残したい」と、一人娘の21年の人生を記者に語った。 由紀子さん=仮名=は生後6カ月の時、卵巣ヘルニアの疑いで手術を受けた。自分も医師である父正継さん(54)=同=は手術に立ち会い、執刀医の言葉にぼうぜんとした。「卵巣ではなく、精巣のようです」 検査の結果、染色体や性腺は男性型だが外見や心は女性になる疾患(完全型アンドロゲン不応症)と分かった。夫婦は迷わず女性として育て、本人には「小さい時に卵巣の手術をした。生理はこないかもしれない」とだけ伝えた。 「出産も結婚も望めない。せめて一人で生きていける力をつけてやりたい」。両親の願いに応え、由紀子さんは医学部に合格。正継さんは「
<世の中ナビ NEWS NAVIGATOR> ◇2兆円規模、正式発表を先送り 鳩山政権が「政治主導」の第1弾として着手した09年度補正予算の執行停止を巡り、各省庁が期限の2日に回答した予算削減案の合計は2兆円規模にとどまった。想定していた3兆~4兆円を下回り、政府は正式発表を来週以降に持ち越した。前政権の手で組まれた補正予算の見直しは、新政権が最初に迎える試金石だ。水膨れの補正予算にさえ切り込めないなら、子ども手当など民主党の目玉政策に要する来年度分の財源(7兆1000億円)確保にも黄信号がともる。 政治主導の削減は、地方自治体の予算執行の現場にも波紋を広げている。文部科学省は、すべての公立小中学校に電子黒板などを配備する「学校ICT(情報通信技術)環境整備事業」(事業費2087億円)を削減する。 電子黒板を05年12月に独自に購入した横浜市立霧が丘小学校で1日、6年生の授業、大縄跳びの練
99年に起きた山口県光市の母子殺害事件を巡り、被告の元少年(28)を実名で表記したルポルタージュ本について、元少年の弁護団を務める弁護士6人が5日、広島地裁に出版の差し止めを求める仮処分を申し立てたことが分かった。本は題名に元少年の実名を含めており、インシデンツ(東京都日野市)が出版する。 著者の一橋大職員で元フリーライターの増田美智子さんが、元少年に25回接見し、手紙のやりとりを重ね、少年から実名表記の許可を得たという。増田さんは「『元少年』という表記は記号に過ぎず、彼への人権侵害ではないか。一人の人間としての彼を感じてもらうため、実名表記に踏み切った」と話している。 仮処分を申し立てた弁護士は「少年法に基づき、実名報道は許されるものではない。本人は出版前に原稿を見せてもらって実名掲載の可否を決めるつもりだったが、原稿は見せてもらえなかった。本人は承諾してはいない」と話した。
昨年5月に津和野町で祖父母を殺害したとして殺人罪に問われた孫の有田直樹被告(24)の論告求刑公判。検察側は無期懲役を求刑しながら「冷酷、執ような犯行」と指弾した。 黄色のトレーナーとベージュ色のズボン姿で法廷に現れた有田直樹被告(24)は弁護人席の前に腕を組んで座り、表情を変えることなく検察官の論告を聞いた。 検察側は争点となっていた責任能力について、「(広汎性発達障害の)アスペルガー障害であることのみから直ちに心神耗弱であったと言えるものではない」と主張。またもう一つの争点である自首の成立についても「警察が被告人を疑っていた」として反論した。 弁護側は事実関係については争わず、「社会性が培われず社会的不適応に陥りやすいアスペルガー障害で、その二次的障害の社会恐怖や強迫性障害などがあった」として、犯行当時は有田被告に限定的責任能力しかなかったことを主張。また家族に手紙を書くなど反省している
大和郡山市で昨年6月、男性会社員(当時51歳)が殺害された事件で、殺人罪に問われた長男(19)の公判が24日、奈良地裁(石川恭司裁判長)であった。京都大医学部の岡田俊・院内講師(精神医学)が、長男は特定不能の広汎性発達障害・妄想性障害であると診断した精神鑑定書が証拠として採用された。 岡田氏は証人として出廷し、長男の処遇について「労務を黙々とやるのではなく、人間味があって信頼できる大人が継続的にかかわる必要がある。2、3年の矯正教育を受けられれば、大きく変わっていくだろう」と述べた。 これまでの公判で検察側は「自殺を考えたが死ねず、逆に人を殺すことを考えた」などと指摘。これに対し、岡田氏は「(父親の殺害は)元々は思い付きだったが、シミュレーションに没頭することで、葛藤(かっとう)から逃れられ、安定できるという考えになった」とした。 岡田氏は、長男の内面について「人に相談して悩みを発散できず
東京都内で23日に開かれた日本小児科学会の新型インフルエンザ緊急フォーラムで、季節性に比べ年齢の高い小児の脳症が多く発生していることが報告された。同学会は学会内に対策室を設け、重症例の把握に乗り出す。 同学会によると、季節性インフルエンザの場合、脳症は2~4歳に多い。しかし、23日までに判明した新型インフルエンザでは、小児の脳症20例のうち、患者が最も多いのは7歳で、10歳以上も約4分の1を占めた。脳症患者の約2割に、ぜんそくの持病があった。 14例あった重症肺炎(ARDS)では、5例でぜんそくの持病があった。都内の病院は、季節性では少ない呼吸障害の入院患者が、新型では8割以上を占めたと報告した。 全国で最も早く流行した沖縄県の県立南部医療センター・こども医療センター(南風原町)は、ピーク時の1週間に5人の小児が肺炎や脳症の疑い、心筋炎などで相次いで入院。小児用集中治療室が満員になり
東京都渋谷区の自宅で06年、短大生の妹を殺害し遺体を切断したとして殺人と死体損壊の罪に問われた元予備校生、武藤勇貴被告(24)の上告審で、最高裁第2小法廷(竹内行夫裁判長)は15日付で被告側の上告を棄却する決定を出した。懲役12年とした2審・東京高裁判決(4月)が確定する。 2審判決によると、武藤被告は06年12月30日、自宅で妹の亜澄さん(当時20歳)の首を絞めたうえ浴槽に顔を沈めて殺害し、遺体を切断した。弁護側は「心神喪失状態で責任能力はなかった」と無罪を主張したが、小法廷は退けた。 1審・東京地裁は08年5月「殺害時の衝撃で解離性同一性障害(多重人格)が生じ、本来とは異なる、どう猛な別人格が現れた。殺害時は完全責任能力があったが、遺体切断時は心神喪失状態だった」と指摘し、死体損壊について無罪として懲役7年を言い渡した。2審は「多重人格とは認められない」と、起訴内容すべてについて完全責
千葉県東金市で昨年9月、保育園児の成田幸満(ゆきまろ)ちゃん(当時5歳)が殺害された事件で、殺人罪などで起訴された勝木諒被告(22)の弁護団が、千葉地裁での14日の公判前整理手続きで無罪を主張し、全面的に争う方針であることが、弁護団への取材で分かった。 無罪を訴える理由について、弁護団メンバーの一人は「物的証拠もなく、連れ去った時の状況も本人の供述のみに基づき、目撃者もいないなど不自然な点が多い」と話している。また、知的障害のある勝木被告に刑事責任が問えるとした千葉地裁の鑑定留置に疑問があるとして、弁護団として改めて精神鑑定をする方針。 起訴状によると、勝木被告は08年9月21日午前11時40分ごろ、自宅近くの路上で幸満ちゃんを抱きかかえて自宅に連れ込み、水の入った浴槽につけて殺害。午後0時20分ごろ、遺体を自宅そばの資材置き場の路上に置いたとされる。【中川聡子】
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