(2009年9月28日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) つい1年あまり前のこと。米国コロラド州ボールダー郡のボブ・ハリングホルスト財務官は、郡の資金でMMF(マネー・マーケット・ファンド)を購入した。金融サービス業界出身の同氏は、この商品を安全だと考えていた。格付けは最高クラスだし、2007年8月からウォール街で騒ぎになっている金融仕組み商品とやらとは違う、本流の投資商品だ、というわけだ。 それから少しして、リーマン・ブラザーズが破綻した。同氏が選んだファンドにはリーマンの証券が組み入れられており、ボールダー郡はこの投資で70万ドル近い損失を被った。 「本当にショックだった。70万ドルあればプライマリー・ヘルスケア*1のサービスをずいぶん提供できたはずなのに」。ハリングホルスト氏はそう嘆き、この一件で「金融や投資のシステム」全体への信頼が揺らいだと付け加えた。 無理からぬ話である。