(2011年2月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 過去10年間というもの、原油価格の上昇について盛んに心配されてきたもかかわらず、それが世界経済に与えた影響は以前よりはるかに痛みが小さかった。 最高値の更新は1973~74年、1980~81年、1990~91年の景気後退で主役を務めたが、最近の景気後退では悪役として登場することはほとんどなかった。これは、世界がこの20年間、本当の石油供給ショックに直面していないからだ。 供給ショックが起きたら・・・ エジプトが混乱に陥り、合わせて世界の石油供給の3分の1を担う地域で他の独裁政権にも問題が波及するのでないかという懸念が渦巻く中、起きる確率は低いが起きたら多大な影響を及ぼす供給ショックに対する不安が、2003年のイラク戦争以来初めて浮び上がっている。 スエズ運河と関連のパイプラインが閉鎖されれば、世界の石油生産の約3%は迂回ルートを見つけ