9.3 1変量の場合 (1) 尤度と最尤法 判別分析では「尤度(ユウド、likelihood)」という概念が重要になります。 尤度は確率の親戚で、特定の母数の「尤もらしさ」を表す値です。 例えばある母集団があり、その母集団のTCは平均値が200、標準偏差が20の正規分布をしていたとします。 この母集団からひとつのデータをサンプリングした時、それが240である確率は理論的に計算することができます。 この場合、サンプリングしたデータの値は正規分布に従って確率的に変動するので確率変数といいます。 それに対して母集団の平均値と標準偏差は母数ですから、定数であり変動しません。 しかし我々が研究現場で実際に手にすることができるのは標本集団のデータだけであり、母集団の母数はそれらの値からもっともらしい値をあれこれと推測するしかありません。 したがって我々にとっては確率変数である標本集団のデータの値は変動