グリーンランドとカナダを隔てるナレス海峡に浮かぶハンス島。カナダとデンマークが奇妙な領土紛争を繰り広げてきた小島だ。50年にわたり、両国の当局者が代わる代わる上陸し、国旗やウイスキーボトルを残していった。(PHOTOGRAPH BY DAVE WALSH, EYEVINE/REDUX) 強風が吹き抜ける北極圏の無人島がカナダとデンマークの思いがけない紛争を引き起こして数十年、世界地図が描き直されることになった。カナダ最北端とデンマークの自治領であるグリーンランドを隔てる幅35キロメートルのナレス海峡に浮かぶハンス島を巡る紛争で、両国が「領有権を分割する」と2022年6月14日に発表したのだ。 この合意を、両国の当局者は国際協力における画期的な出来事として歓迎している。ときには国旗や酒瓶も登場した50年にわたる非公式な「戦争」についに終止符が打たれた。 ハンス島の歴史 紛争とはいうものの、歴