5.エンパイア・ビジネスとモラルの問題 *以下の考察は当該ドラマを最後までご覧になった方に向けて書かれております。所謂「ネタバレ」があることをご承知下さい。 ビジネスとして捉えた場合、ウォルター・ホワイトの起業は、以下のような経過を辿る。 初めにイノベーションがある。従来のドラッグ業界では「貧乏人のドラッグ」と蔑称され、粗放な施設と技術で十分とされていたメタアンフェタミン、通称メスの製造に専門知識を持ち込んで、99.1%という抜きん出た純度を達成することに成功するのだ。ジェシーがアートだと絶賛し、一時助手を務めたゲイル・ベティカーが、ホイットマンの詩を引いて賞賛するほどのプロダクトは、メチルアミンを原料に使うことでトレードマークとなる青味を帯び、市場では従来品の四倍の価格で取引される。販売はジェシーが担当するのが、起業時の分担だった。ただし小分けにした袋詰めをジェシーが単独で夜通し売り歩い
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