高世えり子『理系クン』 「理系男子に恋をした!」というオビからわかるとおり、理系研究者である自分のパートナーについてのエッセイコミックである。 ——相手の反応かまわず、自分の専門の話に暴走。 ——やたら事務的に女性の要求を聞いて、脳内検索をするメンタリティ。 ——距離感のとれない、そして意味がわからないコミュニケーション。 ——オシャレ力のなさ。 正直なところ、あまりに類型的な「理系男子」像だ。よくそういうやつがいる、というより、よくそういうふうに描かれる、というニュアンスの方が強いのだが。 むしろ不思議なのは、ではそれほどまでにわけのわからない人間と、著者・高世はなぜつき合い続けたのかということである。 デートで会話が続かないために、高世が相手の専攻をくわしく聞くと、次第に饒舌になりだし、あいづちに乗せられて、ものすごい勢いで専門的なことを語りだす、というのである。 高世は「へーすごーい