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2008年3月13日のブックマーク (8件)

  • Passion For The Future: わたしを離さないで カズオ・イシグロ

    わたしを離さないで スポンサード リンク ・わたしを離さないで 出版社の紹介文を引用。 「 自他共に認める優秀な介護人キャシー・Hは、提供者と呼ばれる人々を世話している。キャシーが生まれ育った施設ヘールシャムの仲間も提供者だ。共に青春 の日々を送り、かたい絆で結ばれた親友のルースとトミーも彼女が介護した。キャシーは病室のベッドに座り、あるいは病院へ車を走らせながら、施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に極端に力をいれた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちの不思議な態度、そして、キャシーと愛する人々 がたどった数奇で皮肉な運命に……。彼女の回想はヘールシャムの驚くべき真実を明かしていく――英米で絶賛の嵐を巻き起こし、代表作『日の名残り』を凌駕する評されたイシグロ文学の最高到達点 」 「施設」で暮らすキャシー、トミー、ルースの生活は、一見のんびりした普通の子ども時代のようで、

  • Passion For The Future: 運命ではなく ケルテース・イムレ

  • Passion For The Future: ベルカ、吠えないのか? 古川日出男

    ベルカ、吠えないのか? スポンサード リンク ・ベルカ、吠えないのか? 2005年度出版の一般小説ではベストだと思う。 1943年、第二次世界大戦下のアリューシャン列島。撤退する日軍によって、4頭の軍用犬が置き去りにされた。数奇な運命によって海を渡り、世界へ散らばる血統は、人間の歴史に翻弄されながら、人間の歴史を逆に翻弄することにもなる。偉大なイヌの歴史を縦糸に、人間の歴史を横糸に、半世紀に渡る壮大な現代史のタペストリがそこに浮かび上がる。 世界史を総括する大河小説でありながら、テンポのよい筆致で、高い娯楽性もそなえた一大傑作である。鬼気迫る勢いの文体。執筆中、著者は何かに取り憑かれていたのではないか。見事なまでに魂のこもった語り、鬼気迫っているというのがふさわしい形容だろう。 古川日出男という作家の作品はこれが初めてだった。他の作品を知らないのだが、この一冊は世界的に通用する普遍の文学

    inmymemory
    inmymemory 2008/03/13
    2005年度出版の一般小説ではベストだと思う
  • Passion For The Future: 笹まくら 丸谷才一

    笹まくら スポンサード リンク ・笹まくら 故・米原万里が書評集「打ちのめされるようなすごい」で打ちのめされるようなすごい小説として絶賛していたので興味を持った。40年前(昭和40年頃)に丸谷才一によって書かれた河出文化賞受賞の傑作である。 舞台は終戦から20年後。私立大学の職員である主人公の浜田は一見穏やかな生活を送っている。浜田には戦時中に死罪に値する徴兵忌避をして、日中を女と逃げ回った後ろめたい過去があった。平和な時代になって、それは法的にはもはや罪を問われることのない経歴であったが、世間の目は冷ややかであった。 笹まくらとは、落ち着かない、不安な状態のことである。浜田の戦時中の逃避行と現在の息苦しい職場生活の二つの時制の笹まくらが重ねあわされる。過去の回想と現在の思考を空行で区切ることなく、意識の流れのままに文章化した独特の文体が、思い切ることができない浜田の憂な心情をそのま

    inmymemory
    inmymemory 2008/03/13
    米原万里が打ちのめされるようなすごい小説として絶賛
  • Passion For The Future : 「昨日」「どちらでもいい」 アゴタ・クリストフ

    「昨日」「どちらでもいい」 スポンサード リンク ・昨日 悪童日記3部作があまりに良かったため、すべて読むことにしたアゴタ・クリストフ。 「昨日」は3部作の直後に書かれた作品で、続編ではないが設定や雰囲気には似た部分が多い。アゴタ・クリストフはハンガリー出身の亡命者で、母語ではないフランス語を使って小説家になった。感情移入を許さない、淡々とした客観的な語り口は、そうした作家の背景からくるものらしい。故郷も母語も失って、居場所のなくなった永遠の異邦人としての自身の姿を、主人公に重ね合わせて描いている。 アゴタ・クリストフの作品は影絵みたいだなと思う。感情エネルギーの光の部分よりも、その光が届かない闇の部分が物語の形をはっきりと映し出している。亡命者でなくても、多くの人間が、何らかの喪失感を抱えて生きているものだと思う。だから、読む者の共感を引き出す。 感情的に暗い読後感にならないのもアゴタ・

  • Passion For The Future : カフカ短篇集

    カフカ短篇集 スポンサード リンク ・カフカ短篇集 カフカの「掟の門」は、ほんの数ページの作品なのに、強烈に印象に残り、何度も反芻しながら、意味を考えさせられる。読書会でも開いたら何時間でも討論できそうである。 「掟の門」。男がいる。彼は「掟の門」の前で、大男の番人に阻まれ入ることができずにいる。「いまはだめだ」と言われ続けて、男は長い年月、門番が入ることを許してくれるのを待ち続けた。そして年をとって命が尽きはてようとしている。 「「この永い年月のあいだ、どうして私以外の誰ひとり、中に入れてくれといって来なかったのです?」いのちの火が消えかけていた。うすれていく意識を呼びもどすかのように門番がどなった。「ほかの誰ひとり、ここには入れない。この門は、おまえひとりのためのものだった。さあ、もうおれは行く。ここを閉めるぞ」」 そこから人生の教訓のような普遍的なものを読み取ることができるし、カフカ

  • Passion For The Future: 空中スキップ ジュディ・バドニッツ

    空中スキップ スポンサード リンク ・空中スキップ 文句なしで5つ星の短編集。漠然と面白い読み物を探しているなら、これがおすすめ。 自分を犬だと思い込んでキグルミを来た男に餌をやる家族の話だとか、ある日世界中で子供が生まれなくなってしまった騒動の話だとか、母親のために心臓の提供を迫られる息子の話だとか、普通の世界と少しずれた設定で始まる話が多い。その最初のなにかへんだなという亀裂がしだいに大きく広がって世界を覆いひっくり返す。 収録作品は341ページのに23編だから、一話あたり15ページに満たないショートショート。奇想天外の世界観に幻惑される読書体験が23回。その短い枠の中で、どの作品にも読者の期待を裏切らない裏切り方が待っている。シュールでブラックな作風だが、同時にどことなくコミカルなので、気分が暗くならずに、次々に読み進めやすいのもいい。 23話中8割くらいの確率で個人的には大ヒット

    inmymemory
    inmymemory 2008/03/13
    文句なしで5つ星の短編集。漠然と面白い読み物を探しているなら、これがおすすめ
  • 名短篇、ここにあり

    コードウェイナー・スミスの「アルファ・ラルファ大通り」は偶然と必然の織りなすタペストリーなのだが、その脇道を歩いていてもほんの少しの偶然と必然ぐらいはある。 というかここは、日々思ったこととか読んだの感想とかそんなものを書き溜める日記のようなものである。 編 北村 薫、宮部 みゆき 販売元/出版社 筑摩書房 発売日 2008-01-09 Amazon/楽天ブックス べず嫌いってのは損なんだよなあとつくづく実感してしまった。 半村良や小松左京はSF系なので読んではいるが、ミステリ系の多岐川恭や戸板康二や松清張あたりは、わず嫌いでほとんど読んでいない。 とくに松清張なんかは謎解きミステリとしても凄いのは知っていながらも、「社会派」という印象がこびりついてしまっているので毛嫌いしていた面もあったんだけど、松清張の「誤訳」を読んで目から鱗が落ちる思いをした。やっぱり凄い。 それ以外の作

    名短篇、ここにあり