『とらドラ10!』(竹宮ゆゆこ/電撃文庫)読了。 とらドラもついに完結。竜児と大河の恋愛関係の成就で物語が終わらず、変わっていくものを変わっていくものとして受け入れて、世界と融和していく展開にただ痺れた。竜児と大河がたんに大恋愛の末、すべてを捨てていくという物語は、美しいかもしれないけど、何も解決していないものだ。これは、二人のルーツ、すなわち孤独を見つめなおす物語であり、二人が孤独を乗り越える物語でもあるわけだ。ここに至って、物語は完全に視点が竜児のものとなっており、彼がどのようにして孤独を乗り越えるのかが描かれているのだが、その分、大河の物語としてはやや未解決な部分が残っているように思うのだが(大河父との決着は、いつの日かつけなくてはならないだろう)、それでも大河もまた、自らの孤独の由縁を受け入れ、克服する物語となっていると思う。ただ、やはりあまりにも多くの素晴らしい物語的なモチーフが