「SHI−NO―シノ―過去からの招待状」上月雨音(富士見ミステリー文庫) TVから流れるニュースが悪夢の再来を告げている。ドキリとする僕とは反対に、志乃ちゃんは涼しい顔だ。 僕と志乃ちゃんが出会うことになったあの事件。犯人は死んだはずだ。たしかに、もう終わったはずなのに――。 僕にとっても志乃ちゃんにとっても、忘れられるわけがないその記憶。 夜の公園でであった志乃ちゃんの体温と、僕の手を濡らしたぬるりとした液体の感触。あの春の夜から、僕はもう、逃げるわけにはいかない。 志乃ちゃんが普通の小学生になるために。そして、僕と志乃ちゃんが、二人で未来へ歩いて行くために。 大学生の僕と小学生の志乃ちゃんとの純愛系ミステリー。――暗闇は記憶の扉。 SHI−NO最終話前編。最初で最後の事件(1回きりという意味ではない)。 キャラ毎に現在と一年前の出来事が交互に綴りながら、事件のあらましが語られていく。