危機に瀕した文化遺産のアーカイブ:英国図書館の10年の取組 リビアのティフィナグ語の碑文,マリ共和国トンブクトゥの手稿,ロマの民族自決運動黎明期の新聞,カメルーンの写真スタジオの写真,ギニアのセク・トゥーレ大統領時代の音楽,イランのラジオ番組…。これらの文化遺産はよく知られているとは言い難いが,政治的な紛争,自然災害等のさまざまな理由により,いずれも消滅の危機に瀕していたという。 英国図書館(BL)では,Arcadia財団の支援を得て,これらの消滅の危機に瀕した文化遺産をアーカイブする取組み“Endangered Archives Programme”(以下EAP)を2004年から実施している。EAPではこれまで,世界78か国の約250のプロジェクトに助成を行い,危機に瀕した文化遺産を当該地域の適切なアーカイブに移し,デジタル化し,その大多数をBLが運営するEAPのウェブサイトで公開してい