このあいだiPS細胞を応用した手術をしたとかしないとか、話題をふりまいた人物の肩書に東大の「特任研究員」とあるのをみて、ちょっと当惑した。大学のなかにこんな職位があるのをわたしは知らなかったからである。 ≪様変わりした最高学府の肩書≫ わたしが現役だったころのむかしの大学の教員は教授、助教授、講師、助手、と四段階できわめて明快だった。他大学からの出講者を「非常勤講師」、複数の大学を兼任すると「併任教授」といった事例もあったが、おおむねこの四種類の職位、あるいは身分で大学の先生たちは区分されていたのである。 それがこのごろではめざましく変貌した。現役の教授にきいてみたら「特任研究員」というのは特定の研究費によって雇用される臨時研究員のことだそうだ。研究費が切れたら、そこで雇用関係は消滅する。正規の教員ではない。 一般企業でも正規の社員のほか、「派遣」あり「出向」あり、「アルバイト」あり「パー