タグ

心理とbookに関するja_bra_af_cuのブックマーク (33)

  • 認知言語学から小説の面白さに迫る『小説の描写と技巧』

    小説の面白さはどこから来るのか? 物語のオリジナリティやキャラクターの深み、謎と驚き、テーマの共感性や描写の豊かさ、文体やスタイルなど、様々だ。 小説の面白さについて、数多くの物語論が著されてきたが、『小説の描写と技巧』(山梨正明、2023)はユニークなアプローチで斬り込んでいる。というのも、これは認知言語学の視点から、小説描写の主観性と客観性に焦点を当てて解説しているからだ。 特に興味深い点は、小説の表現描写が、人間の認知のメカニズムを反映しているという仮説だ。私たちが現実を知覚するように、小説内でも事物が描写されている。 認知言語学から小説の描写を分析する 通常ならメタファー、メトニミーといった修辞的技巧で片づけられてしまう「言葉の綾(あや)」が、ヒトの、「世界の認知の仕方」に沿っているという発想が面白い。これ、やり方を逆にして、認知科学の知見からメタファーをリバースエンジニアリングす

    認知言語学から小説の面白さに迫る『小説の描写と技巧』
  • 書評 「人間性の進化的起源」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    人間性の進化的起源 作者:ケヴィン・レイランド,豊川航勁草書房Amazon 書はヒトの知性や認知能力や心のあり方の進化的な起源を「文化進化」を深く考察することにより探索するだ.そしてその中では累積的文化進化,ニッチ構築,遺伝子と文化の共進化にからむ正のフィードバック過程がキーコンセプトになる.著者はケヴィン・レイランド.原題は「Darwin’s Unfinished Symphony: How Culture Made the Human Mind」 書全体は第1部「文化の基礎」で模倣や文化にかかる行動や能力がどのように進化しうるのかをまず整理し,第2部「人間らしさの進化」でヒトを特別にしているものは何か,それはどうして(ヒトだけに)進化したのかを扱うという構成になっている. 第1部 文化の基礎 第1章 ダーウィンの未完成交響曲 冒頭で,ダーウィンは土手を覆い尽くす生物たちの多様性を

    書評 「人間性の進化的起源」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  • 書評 「広がる! 進化心理学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    広がる! 進化心理学 朝倉書店Amazon 進化心理学は基的にヒトの行動や心理を進化的な視点から理解しようとする試みであり,極めて学際的な営みになる.書はそのような進化心理学の周辺分野の専門家たち(その多くは同時に進化心理学者でもある)による進化心理学が周辺分野に与えてきた影響,あるいはその親和性を解説する一冊になる.編者は小田亮と大坪庸介. 冒頭の「まえがき」は「なぜ書店の『心理学』の棚には『進化心理学』というコーナーがないのか」という面白い掴みから始まっている.基的に新しい分野でまだ認知度がなく,そういう書名のが少ないからだと思われるが,ここでは,進化心理学は他の○○心理学と異なり,○○にあたる内容を研究するのではなく,進化はその視座を表しているからだと説明されている.つまり進化心理学は認知科学,社会心理学,発達心理学のような内容による区分に横串を通すような分野であり,そのよう

    書評 「広がる! 進化心理学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  • 進化心理学と文化進化論(中尾央『人間進化の科学哲学』読書メモ) - 清く正しく小賢しく

    今回紹介するのはこちら。 中尾央『人間進化の科学哲学 行動・心・文化』名古屋大学出版会 人間進化の科学哲学―行動・心・文化― 作者:中尾 央 名古屋大学出版会 Amazon といってもここで取り上げるのは1,3,4章の内容(の一部)だけだし、筆者の理解もあやふやなので(また例によって手元にがない状態で書いてるので)、正確に/詳しく内容を知りたい人はshorebird先生の記事を読んでください*1。 shorebird.hatenablog.com さて、書はまず第1部で人間の進化に関する代表的な研究プログラム(第1章は進化心理学、第2章は人間行動生態学、第3章は遺伝子と文化の二重継承説)について科学哲学的に考察し、第2部では文化進化論を取り上げて(第4章はプロセス研究、第5章はパターン研究)*2、第3部では具体的なケースとして罰(第6章)と教育(第7章)の進化研究について考察する、とい

    進化心理学と文化進化論(中尾央『人間進化の科学哲学』読書メモ) - 清く正しく小賢しく
  • 異視覚『「色のふしぎ」と不思議な社会 2020年代の「色覚」原論』

    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2022/08/27
    “ほうっておけば、「誰もが異常」になってしまう21世紀の世界で、ぼくたちは「多様で連続的なもの」を意識してやっていきたい。様々な頻度で、様々な特徴が分布する中で”
  • なぜ「経済的に恵まれない人」が「新自由主義を支持する」のか? 社会心理学が明らかにしたこと(北村 英哉) @gendai_biz

    自分にとって抑圧的な環境、不都合な状況なはずなのに、なぜかそこに適応してしまう。こうした態度を「自発的隷従」と呼ぶことがある。こうした自発的隷従のような態度について、社会心理学の見地から分析した、ジョン・ジョスト『システム正当化理論』(ちとせプレス)が刊行された。訳者の一人である東洋大学教授の北村英哉氏がその読みどころを解説する。 なぜ政権党は勝ち続けるのか? まさに今の時代に合っている。ジョン・ジョストが提唱する「システム正当化理論」、そんな風に考えた。この理論は、「なぜだか現状維持に走ってしまう人々」の生の現実的な姿をつかむことに長けている。 システム正当化理論は、社会心理学の理論である。これまでの社会心理学の理論では、多くの場合、人々は自分自身が属する内集団を好み、自集団の有利を期待し、その利得に合致する方向で行動するものだとされていた。しかし、システム正当化理論は、こうした従来の理

    なぜ「経済的に恵まれない人」が「新自由主義を支持する」のか? 社会心理学が明らかにしたこと(北村 英哉) @gendai_biz
  • 書評 「なぜヒトだけが言語を話せるのか」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    なぜヒトだけが言葉を話せるのか: コミュニケーションから探る言語の起源と進化 作者:トム・スコット=フィリップス東京大学出版会Amazon 書は認知と文化が専門の認知科学者,心理学者であるトム・スコット=フィリップス*1によるヒトの言語の進化と起源に関する一冊.ヒトの言語の進化的起源については,霊長類などの信号システムとの連続性を前提に,再帰的構造を重視する議論*2が主流だが,書においては,ヒトの言語と霊長類の信号システムとの非連続性を強調し,語用論の重要性を正面から採り上げる独自の議論が説得的に主張されていて,とても興味深い書物になっている.原題は「Speaking Our Minds: Why human communication is different, and how language evolved to make it special」 第1章 コミュニケーションへの2

    書評 「なぜヒトだけが言語を話せるのか」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  •  「歌うネアンデルタール」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    歌うネアンデルタール―音楽と言語から見るヒトの進化 作者: スティーヴンミズン,Steven Mithen,熊谷淳子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2006/06メディア: 単行購入: 2人 クリック: 72回この商品を含むブログ (40件) を見る 「心の先史時代」でヒトの認知の進化について領域的な心のモジュールが認知的な流動性を獲得して現代人類の心を持つようになったと主張した著者の最新著.(この間に「After the Ice」という氷河期以後を扱ったがあるのだがまだ訳されていないのが残念) 書においては言語と人間の認知について複雑な主張を展開しているが,一言で言うと類人猿からネアンデルタールまでは現在の人類の言語のプロトタイプである全体的で感情伝達的な発話様式(これを著者はHmmmmと名付けている)があった.これが彼等が現代人類のような文化を発達させ得なかった要因のひとつ

     「歌うネアンデルタール」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  • 書評 「進化政治学と平和」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    進化政治学と平和 科学と理性に基づいた繁栄 作者:伊藤 隆太芙蓉書房出版Amazon 書は進化政治学者伊藤隆太による3冊目の進化政治になる.伊藤は1冊目の「進化政治学と国際政治理論」では国政政治理論の古典的リアリズムを進化心理学的知見を基礎に進化リアリズム*1として再構築し,(ネオリアリズムの立場から見ると不合理な)戦争開始決定を部族主義,過信,怒りなどの概念を用いて説明してみせた.2冊目の「進化政治学と戦争」においては進化リアリズムの基礎的知見を人間行動モデル*2として提示し,ヒトには戦争することに使われる人間性が備わっているとする「戦争適応化説(個人レベル,集団レベルの抗争を可能にする心理メカニズムを奇襲と会戦に分けて説明するもの)」を提示した.2冊とも科学哲学的に実在論に立っていることを強調している.そして今回の「進化政治学と平和」においてはやはり実在論を強調しながら新しく進

    書評 「進化政治学と平和」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  • 第585回:「叱る依存」という病〜指導死、虐待、DV、パワハラ、そしてSNS上のバッシングや「厳罰化」、危険な中絶方法などなどの背景にある根深いもの。の巻(雨宮処凛)

    ホーム 雨宮処凛がゆく! 第585回:「叱る依存」という病〜指導死、虐待、DV、パワハラ、そしてSNS上のバッシングや「厳罰化」、危険な中絶方法などなどの背景にある根深いもの。の巻(雨宮処凛) 雨宮処凛がゆく!

    第585回:「叱る依存」という病〜指導死、虐待、DV、パワハラ、そしてSNS上のバッシングや「厳罰化」、危険な中絶方法などなどの背景にある根深いもの。の巻(雨宮処凛)
  • 紙の本が電子書籍よりも優れていることを示す数々の研究報告

    スマートフォンやタブレット、あるいは専用リーダーの普及によって、電子書籍に触れる機会はかなり多くなっています。そんな中でも大学生の92%が紙のを好むという調査結果や、16歳から24歳の若い世代でも3人に2人が紙のを好むというレポートがある通り、紙のは根強い人気を誇っています。そんな電子書籍と紙のの利便性を比較した研究について、Scientific Americanがまとめています。 The Reading Brain in the Digital Age: The Science of Paper versus Screens - Scientific American https://www.scientificamerican.com/article/reading-paper-screens/ 紙の読書とスクリーンに表示された文字を読むこととの違いについては1980年代に

    紙の本が電子書籍よりも優れていることを示す数々の研究報告
  • 書評 「不平等の進化的起源」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    不平等の進化的起源: 性差と差別の進化ゲーム 作者:ケイリン・オコナー大月書店Amazon 書は,科学哲学者でありかつ進化ゲーム理論家であるケイリン・オコナーによる進化ゲームの均衡解として(差別的偏見がなかったとしても)社会的カテゴリー間の不平等をもたらす慣習や規範が創発しうることを丁寧に論じたである.社会的カテゴリーとしては特にジェンダーが大きく取り上げられているが,人種や宗教などにも当てはまる議論になっている.原題は「The Origins of Unfairness: Social Categories and Cultural Evolution」. 序章で各章の概略と文化進化の簡単な解説(文化進化の存在は書において進化ゲームを用いる基礎的な前提になる)をおいた後に論に入る. 第1部 社会的強調による不平等の進化 第1章 ジェンダー,協調問題,協調ゲーム 最初のジェンダーと

    書評 「不平等の進化的起源」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2022/01/05
    “進化ゲームの均衡解として(差別的偏見がなかったとしても)社会的カテゴリー間の不平等をもたらす慣習や規範が創発しうることを丁寧に論じた本で”
  • 行動操作『事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学』

    イケア効果というのは、「自分が作ったものには、他人が作ったまったく同じものよりも価値を感じる」という観察結果に基づいた現象である。その一例が、自分で組み立てたイケアの棚の方が、既製のまったく同じ棚よりも良く見える傾向だ。 ミシガン州立大学の研究によると、公衆トイレを使ったあとに適正な手洗い(石鹸と水を使って15秒以上洗う)を実行する一般人は、たったの5%だったという。 医師や看護師などの職員がきちんと手を洗うたびに、電光掲示板に示されるスタッフの手洗い順守率も上がっていく。その時間に働いているスタッフの何%が手を洗っているか、一週間ではどれくらいの率になるかなどが示される。 そこで何が起こったか?なんと、順守率が90%近くまで上昇したのだ! たいていの人は、いつか自分の命を奪うかもしれないものに対して危機感を募らせていないようだ。そのくせ、最も多くの人が恐怖を抱いているのはクモなのである。

    行動操作『事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学』
  • 私は信田さよ子を知らなかった『家族と国家は共謀する サバイバルからレジスタンスへ』 | カドブン

    書評家・作家・専門家が《新刊》をご紹介! 選びにお役立てください。 (評者:東畑 開人 / 臨床心理学者、白金高輪カウンセリングルーム 主宰   http://stc-room.jp/ ) はじめに断っておく。広い読者に向けられたでもあるけれど、ひとりの心理士として書きたい。この書評の題は、そういう思いからつけたものだ。 私は信田さよ子を知らなかった。不明を恥じる。だけど、私だけじゃない、と言い訳したくなる。誰も信田さよ子を知らなかったのではないか。 もちろん、みんなが信田さよ子を知っている。それもわかっている。彼女はおそらく、日で最も有名な心理士だ。アディクションとDVの第一人者であり、数えきれないほどのを書き、多くの良き読者がいる。 それでも思う。信田さよ子は孤独ではなかったか。この25年間、彼女はたった一人で体系を編み上げ、オルタナティブな臨床心理学を構築してきたのではなかっ

    私は信田さよ子を知らなかった『家族と国家は共謀する サバイバルからレジスタンスへ』 | カドブン
    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2021/02/26
    "信田さよ子はもはや心理学を基礎理論としていない。彼女は女性学をはじめとする社会理論をインストールして、全く新しい認識論を作り上げている。これを単なる社会理論の応用と思ってはいけない。なぜなら〔……〕"
  • 異なる道筋で進化した「心」を分析する──『タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源』 - HONZ

    タコというのはなかなかに賢い生き物で、その賢さを示すエピソードには事欠かない。 たとえばタコは人間に囚われている時はその状況をよく理解しており、逃げようとするのだが、そのタイミングは必ず人間が見ていない時であるとか。人間を見ると好奇心を持って近づいてくる。海に落ちている貝殻などを道具のように使って身を守る。人間の個体をちゃんと識別して、嫌いなやつには水を吹きかける。瓶の蓋を開けて、中の餌を取り出すことができるなどなど。 タコには5億個ものニューロンがあり(これは犬に近い。人間は1000億個)、脳ではなく腕に3分の2が集まっている。犬と同じニューロンってことは、犬ぐらい賢いのかなと考えてしまいそうになるが、タコは哺乳類らとは進化の成り立ちが根的に異なるので、単純な比較は難しい。では、いったい彼らの知性はどのように生まれ、成り立っているのか。神経系はコストの高い器官だが、それが結果的に生き残

    異なる道筋で進化した「心」を分析する──『タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源』 - HONZ
  • キム・ステレルニー『進化の弟子 ヒトは学んでヒトになった』 - logical cypher scape2

    サブタイトルにあるとおり、ヒトのヒトたる特徴がどのように生まれてきたか、についての キーワードの一つは「徒弟学習apprentice learningモデル」である。 徒弟が親方から技術を盗んで覚える、という学習スタイルによって、ヒト族は知識や技術を伝達し、蓄積し、増やしていった、というモデルである。 書の原著タイトルは、The Evolved Apprenticeであり、そのまま訳せば「進化してきた徒弟」となるのかな、という感じもする。 また、「ニッチ構築」や「正直メカニズム」などもキーワードだろう。 「徒弟学習モデル」を可能にするのは、ニッチ構築という環境構築能力である。ヒトの進化というのは、個体の認知能力が向上するというだけでなく、環境や学習との共進化ないしフィードバックループであったのだ、というのがステレルニーの主張の一つである。 また、こうした学習と関係するのが、ヒトの協力行

    キム・ステレルニー『進化の弟子 ヒトは学んでヒトになった』 - logical cypher scape2
  • 網谷祐一『理性の起源』 - logical cypher scape2

    サブタイトルには「賢すぎる、愚かすぎる、それが人間だ」とあり、人間の特徴として挙げられる理性について、一方では科学技術を発展させるなど「賢すぎる」側面がありながら、他方で、近年の行動経済学などで人間はどうもあまり合理的に行動しないようだということが明らかになったように「愚かすぎる」側面もある。 人間はなぜ理性をもっているのか そして、人間の理性は何故「賢すぎる」面と「愚かすぎる」面をもっているのか という問題を、進化論を手掛かりとして考えるという。 筆者は、科学哲学、生物学の哲学を専門としており、このも哲学のとして書かれている しかし、書には例えばカントなど著名な哲学者の名前は出てこない*1。一方で、進化生物学、心理学、霊長類学などの研究が次々と紹介されていくになっている。 このが何故哲学のなのか、ということは序章で説明されているが、韓国の科学哲学者ハソック・チャンがクラウセ

    網谷祐一『理性の起源』 - logical cypher scape2
  • New Liberal Arts Selection | 有斐閣

    当該分野を専攻する1年生が初めて出会う専門科目の教科書として,また2~4年生が折にふれひもとく基書として,さらに諸分野の大学院に進む学生にとって必須の新しい教養書として,大学4年間,手元に置いてくりかえし読める格テキストです。

    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2018/06/25
    "New Liberal Arts Selectionシリーズを心理・経済・政治・統計・社会学の入門として激推ししてる📚一冊4000円で安いのに0から院試レベルまで引き上げてくれる〔……〕" https://twitter.com/vivich_me/status/1010902410917654529
  • 文学とは感情のハッキングである『文学問題(F+f)+』

    「文学とは何か?」という問いに対し、夏目漱石の文学論を徹底的に読み解き、ここ100年の文学理論を振り返り、さらには文学の認知科学の領域まで踏み込む、画期的な一冊。もの凄く面白く、かつ、自らも考えさせられる。このエントリでは、前半で書を紹介し、後半では考えさせられたことを述べる。 まず、書の紹介から。 著者は山貴光、心の哲学やゲームデザインの分析、百学連環の精読など、人文知のユニークな斬り口を見せてくれる文筆家だ。聖書からtwitterまで、さまざまな文体を、人と文のインターフェースとして分析した『文体の科学』が面白かった。 書は最初にタネ明かしをする。「文学とは何か?」という問いに対し、漱石の答えは「F+f」だという。大文字「F」は、人間が認識すること。人の注意が向いて意識の焦点が当たってる印象や観念を指す。そして小文字「f」は、認識に伴って生じる情緒を指す。すなわち、あらゆる文学

    文学とは感情のハッキングである『文学問題(F+f)+』
  •  「統計思考の世界」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    統計思考の世界 ?曼荼羅で読み解くデータ解析の基礎 作者: 三中信宏出版社/メーカー: 技術評論社発売日: 2018/05/18メディア: Kindle版この商品を含むブログ (2件) を見る 書は三中信宏による「思考の体系学」「系統体系学の世界」と併せて単系統群トリロジーを構成する統計思考にかかる一冊.三中は様々な場所でリサーチャー向けに統計学の講義を担当しており,その際にカリキュラムとして話してきた内容が整理されたいわば「講義録」になる. 後の2冊が春秋社,勁草書房といういかにも文系向けの出版社から,「縦書き物理のみ」という数字アルファベット数式混じりの文章を扱う上で全くユーザーフレンドリーでない形式で出版されたのに対して,書は技術評論社から「横書き電子版同時出版」というスマートでユーザーフレンドリーな形式で出版されておりうれしい限りだ. プロローグ 冒頭ではいきなり,昨今では「

     「統計思考の世界」 - shorebird 進化心理学中心の書評など