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ブックマーク / flipoutcircuits.blogspot.com (15)

  • flip out circuits: G.レイコフ「遂行的従属節」(1984)

    さっきの例文採取 "Maybe don't try to..." に関連して,大昔の論文を引っ張り出してみた. George Lakoff, "Performative subordinate clauses," Proceedings of the Tenth Annual Meeting of the Berkeley Linguistics Society (1984), pp. 472-480. この論文でジョージ・レイコフが考察しているのは,次のような事例だ The Knicks are going to win, because who on earth can stop Bernard!(ニックスが勝ちそうだね,だって,いったい誰がバーナードを止められるってんだ) ふつう,because節に疑問文は生起しない.でも,修辞疑問なら生起できるのだとレイコフは言う.なぜなら,修辞疑

  • ツイート記録

    近年めずらしく長めのツイートをしたので,このチラシの裏に記録. 一連のツイートの起点(残りはこれにぶらさがってる): 純粋な定義の論争は,べつに新しい知識を加える結果にはならない,と思うの.たとえば「アニメ」とはまんがタイムきららの4コマ漫画を原作として深夜に放送される30分枠のアニメーション作品のことである,というすっとこどっこいな定義を誰かが言い出したとして…

    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2018/09/11
    概念の定義は記述なのかどうか問題 フォークターム問題
  • 自然な日本語に訳す練習問題: the thought

    練習問題.自然な日語に訳してみましょう: "For many, the thought of cycling in the city is terrifying." どんな場面で出てきた文なのか見ておくと,言わんとしてることがわかりやすくなるはずだ. 続きを読む前に,自分なりに1つ訳例をつくってもらえるとうれしい. (できました? では続きをどうぞ) さて,まずはいかにもダメな訳例をでっちあげてみよう: ダメな例: 「多くにとって,都市におけるサイクリングの思想はおそろしい」 なにを言ってるのかろくに考えないまま,the thought をとりあえず「思想」「思考」と対応させたり,cycling をカタカナで「サイクリング」にしてすませる安直な訳文だ. ついでながら,9月6日現在,グーグル翻訳先生に訳してもらうとこんな結果になる: Google Translate: 「多くの人にとって、

    自然な日本語に訳す練習問題: the thought
  • ピンカー「パラグラフなんて存在しないよ」

    The Sense of Style から抜粋: 文章がツリーみたいな構造になってるのを理解すると,専門的でない散文を書くときに文章構造を視覚的にわかりやすくする数少ない仕掛けのひとつを理解しやすくなる.その仕掛けとは,段落の区切りだ.多くの文章作法では,段落(パラグラフ)を組み立てる方法について詳しく指南している.でも,そういう指南は見当違いだ.なぜなら,段落なんてものはないからだ.文章のアウトラインを構成する部品も,ツリーの枝分かれも,文章の単位も,改行やインデントで区切られてる文のまとまりに一貫して対応してはいない.かわりに存在してるのは,段落の *区切り* だ:読者が立ち止まって一呼吸入れていま読み終えた内容をじっくり咀嚼してからまたすぐにどこから読み始めればいいかわかるように文章の切れ目を目で見えるようにしてるしおりなら,たしかに存在してる. パラグラフの区切りは,たいてい,談

    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2018/04/30
    "空行やインデントで区別される文章のまとまりに一貫して対応する談話の単位やツリー構造の枝やアウトラインの項目は,ない"
  • スタンフォード哲学事典の「言語行為」を訳読しよう #01

    『スタンフォード哲学事典』から,「言語行為」の項目をちょっとずつ訳していこう.やたら長いし,ちょいちょいめんどくさい言い回しをしてるので,訳し終わるまでけっこう時間がかかると思うけど,興味がある人はおつきあいくださいな. 原文: Mitchell Green, "Speech Acts," Stanford Encyclopedia of Philosophy, 2007/2014. 原文の方でも blockquote がちょいちょい使われているので,訳文全体は blockquote に入れないことにする. ---- ここから訳文 ---- 普段の会話で私たちが自然と注意を向ける主な対象は,お互いに交わしている文ではなく,そうした文の発話で遂行されるいろんな言語行為だ:お願い,警告,招き,約束,謝罪,予測といった言語行為に自然と注意が向かう.こうした行為なしに人とのやりとりは成り立たない.

  • 言い間違いと打ち間違いの大きな違い?

    Language Log “Slips of the fingers vs. slips of the tongue” から。 タイピングでの打ち間違いと、音声言語の言い間違いにはおもしろいちがいがあるそうな: (…)言葉の言い間違いでとりわけ際立つ事実の1つは、統語範疇規則にしたがうという点だ。ある単語が誤って別の単語と入れ替わってしまうとき、たいてい、言わんとしていた単語と入れ代わった単語は同じ統語範疇に属しているのだ。名詞は名詞と入れ替わり、動詞は動詞と入れ替わる、という具合に同じ範疇で入れ替わる。 (Gary Dell, “Speaking and Misspeaking,” ch.7 in Introduction to Cognitive Science: Langauge, 1955; Language Log から孫引き) 一方、タイピングでは、統語範疇の異なる言葉に入れ替

  • 「古典をよまなきゃ」と不安な場合

    「古典的な名著ってどれを読めばいいんじゃろう?」という疑問をおもちの若者へのご提案:きみが読んだ現代のいろんなでよく言及されている古典が,たぶんきみに関係があって現代的な意義のある古典じゃないかな. ――よく言及されている古典が思い当たらない,あるいはそもそもそんなに現代のを読んでない場合,たぶん古典をいま読む必要はないんじゃないかと思うよ?

    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2017/11/09
    至言かも。分野や興味関心が近い人にどんなのが必要になりそうか聞くのもいいかな
  • 翻訳の例題: 物語文の前景と後景

    やってみようという人がいるかどうかわかんないけど,翻訳の練習問題をひとつ.次の一文を「読みやすい」日語に訳してみよう: A young man named Alexander Fleming was earning a wage through a boring job in shipping when his uncle died, leaving him enough money to quit and enrol at St Mary’s Hospital Medical School in London instead. (ヒント: この例題の鍵となるのは,'when' 節の扱い.) ぼくのサンプル訳は明日あらためてこのチラシの裏に書き付けるとしよう. 追記: サンプル訳と目の付け所 例題をぼくなりに訳すとこんな感じ: アレクサンダー・フレミングという若者が商船会社のたいくつな仕

    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2017/09/13
    "出来事が順に起きるのを述べる物語文で《前景》《後景》のどちらを表すかという点では,主節か when 節かという区別よりも単純時制か進行相かという区別の方が強く効いてくるのではないか" なるほど
  • clip:「諸悪の根源が消費社会論にあるような気がしてきた」

    北田 大澤,内田隆三(…),吉見俊哉,そこら辺が見田山脈ですよね.成熟社会派が多い.僕の師匠でもあるけれども,吉見さんとシンポジウムをご一緒した時,「これ以上経済は発展しないんです」とおっしゃるから,「それじゃダメでしょう!」と返したら,見事に編集サイドで削られましたけど(笑).発想はそうなんだなって,すごくびっくりしました. 栗原 反経済成長,脱経済成長というのは社会科学系にとってドグマなんですよね.だから浜矩子(…)とか水野和夫とか,そういう人たちのほうにばっかり行ってしまう. 北田 1920,30年代ブームというのが,1990年代にあったんですよ.なにかというと1920年代とか30年代というかモダンというものに,批評にしても思想にしても社会学も可能性を見出す時期がありました.吉見さんはその典型.つまり前近代から近代に立ち上がっていく時に,半分フーコー,半分消費社会,これがセットになっ

  • 意味論入門一歩手前: 余談: なんでタイプ/トークンを言わないんですか?

    optical flog せんせいの最近の意味論のツイート熟読させてもらってるんだけど、タイプとトークンが曖昧なままで良く理解出来てない気がする。英語の冠詞 a の話と同じ理解でいいのかなあ。 — kikiki (@bunnyprays) August 15, 2017 一連のポストでタイプ/トークンの区別を導入していない理由について,簡略な説明ともうちょいめんどいの2段階で説明をします. 簡略な説明 一連のポストではあまり多くの用語を導入しない方針をとっていますので,同一の「文」とそのさまざまな「発言」という日常言語に近い用語ですませています. もし,タイプ/トークンの区別をこれに当てはめるのであれば,次のように対応します: 文:タイプ 文の具体的な発言:文のトークン こうした区別は,たとえば定評ある飯田 (2002: 14-15) の解説に見られます: 言語表現は,くりかえし用いること

  • 再掲:ファーストオーダーの哲学,セカンドオーダーの哲学

    同じくサール先生のインタビューからもういっこ.こちらは,「ファーストオーダー」の哲学と「哲学者が語ったことについての哲学」(いわばセカンドオーダーの哲学)についてサールせんせいが述べてるところ: たとえば,民主主義に向かって努力すべきであり,民主主義に価値を置くべきだってローティは言うでしょ.でも,「しかし私はみかけと現実の区別をしりぞける」って言うんだよね.でも,民主主義を尊重しようにも,物の民主主義とインチキ民主主義やらニセ民主主義やらの区別をする用意ができてなきゃやりようがないじゃない.人民民主主義だとか,ヨーロッパのファシズムや共産主義みたいな全体主義的民主主義なんてのがあるわけでね.ああいうのは,たいてい民主主義を自称してるけど,ただのみせかけと言うほかないよね.ホントは民主主義なんかじゃない. ローティは,「いや,私は真と偽の区別をしりぞけるんだ」って言うよね.それでいて,

  • 語法メモ: "another $149"

    中学校英語で another X といえば「もうひとつのX」「べつのX」だ.この X は,先行する文脈にあるモノと同じタイプを表す. たとえば―― ▼ 「もうひとつの」の語義にあたる例文: (1) "Would you like another drink?" 「もう一杯いかがです?」(X='drink') [OALD] ▼ 「べつの」の語義にあたる例文: (2) "The room’s too small. Let’s see if they’ve got another one."「この部屋は狭すぎるなぁ.べつの部屋がないか,みてみようか」 (X='room') [OALD] いずれも,共通してるのは X のインスタンスがまず1つあって,さらにもう1つの X のインスタンスを another X で表しているってところだ. もちろん,それだけで話は終わらなくって,次のようにも使える:

    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2015/12/09
    "another が含む「1つの」の意味は,上記 The Verge のような用例ではいっそう抽象的な単位になっているようだ"
  • カジュアルな場所でも出典を示すべき

    とくにツイッターのような場所では,引用にあたって出典を示す人は,意外と少ない.わざわざ出典を明示するのが大げさに感じられるのかもしれない. だけど,できるかぎり明示した方がいい.主な理由は次の2つだ: 他人がその発言をたどりやすくするために 歪曲を防ぐために 1つ目の理由について.その文章やデータがなにのどこに載っているかをじぶんが知ってるかどうかじゃなくて,そんなものを知らない他人が手間取らずにアクセスできるかどうかが大事だ. こまかい表記法の話は脇に置いて,もっとカジュアルに出典を示す場合にも,たとえば次のような言い方では,第三者が当該の文章・発言を探し出すのにかかる手間(コスト!)は大きい―― 「誰だったかがそう言ってます」(は?) 「クルーグマンがどっかでそう言ってます」(著作がめちゃくちゃ多いんですけど) 「クルーグマンがコラムでそう言ってます」(どこの?) 「クルーグマンが『ニ

  • 「メディアはメッセージ」なんて言わなくていいのに――松田『うわさとはなにか』(中公新書)

    松田美佐『うわさとは何か』(中公新書,2014年),全体として面白いなのだけど,マクルーハンを引用して「メディアはメッセージ」と述べている箇所がおかしい (pp.152-3).著者じしんはちゃんと自分が扱っている事例をわかってるはずなのに,マクルーハンに引き寄せようとして,無理がでてる. 著者は,《伝達「手段」として,あるいは,透明な媒体として見られがちなメディア自体もまた,メッセージ=伝達「内容」である》(p.152) と述べたあとに,その例示として,戦時中に米軍がまいたビラのエピソードを引く. 《とくに説得力をもったビラは,次の空襲目標とその予定日を事前に知らせるものであった.ビラの伝える予告が「実現」するにつれ,米国の宣伝ビラの信憑性は増していく.》――これはおかしくない. 《加えて,ビラというメディア自体が持つメッセージも内容の信憑性を増すことに貢献した.》――ここからおかしい(

    ja_bra_af_cu
    ja_bra_af_cu 2014/08/26
    "伝達意図のない〔……〕シグナリングと,伝達意図を必要とするコミュニケーションが区別されないまま,とにかくなにか情報が伝えられれば,それを「メッセージ」と呼んでひとくくりにしてしまう"
  • 文献メモ:スペルベル (2010) 「グル効果」("The Guru Effect")

    Dan Sperber (2010) "The Guru Effect," Review of Philosophy and Psychology 1 (4):583-592. [PDF] 表現が曖昧模糊として不明瞭なのは欠点だと考えられている.だが,知的グルたちの口話や文章では,そうでもない.往々にして,読者たちは自分が理解しかねた事柄は深遠なのだと判断する.この「グル効果」を説明するために稿が目を向けるのは,信用と解釈の心理,権威と論述の役割,そして集団のレベルで機能するときにこうした傾向・プロセスがもたらす効果である.集団のレベルでは,過剰解釈という暴走現象が生じることがあることを稿は論証する.

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