米欧諸国における銀行貸出の低迷の背景 ― 日本のバブル崩壊期との比較 ― 2009年10月28日 国際局 青木里恵・齊藤啓・長谷川達也・渡辺真吾 全文ダウンロード (PDF) 要旨 2008年以降、米欧において銀行貸出の伸びが大幅に鈍化しているが、これは貸出供給の削減と借入需要の減少のいずれによって引き起こされたものであろうか。2008年中の米欧の貸出市場では、銀行貸出金利がほぼ一定のもとで、貸出の伸びが鈍化しており、こうした現象は、1990年代末にかけての日本の金融危機時にもみられた。金融と実体経済の負の相乗作用が強まる中で、銀行の貸出供給と企業や家計の借入需要の双方が同時に減少していったことが影響したものと考えられる。 2009年入り後も貸出の伸びの低下が続いたが、各国における金融システム安定化策や積極的な流動性供給策が奏効し、銀行貸出金利は徐々に低下していった。こうした動きは、米欧金