研究目的: たばこの健康影響および経済影響は、国際的には国際がん研究機関などによって包括的な評価とそれに基づく施策が進められている。わが国では2002年に「喫煙と健康問題に関する検討会」報告書が、2004年にTobacco Free*Japanが出されて以来、包括的な評価は実施されていない。わが国においても、たばこの健康影響および経済影響を包括的に評価し、それに基づくたばこ対策全体の方向性を明らかにする必要がある。そこで本研究は、たばこの生産・販売・消費が健康と経済に及ぼす影響、およびたばこ対策の効果および現状について、国内外の科学的知見を収集、分析、評価することを目的とした。 研究方法: 喫煙の健康影響分析として、国際的にたばことの因果関係がこれまで検討されている次の疾患について、国内の疫学的証拠を収集し、喫煙との因果関係を検討した:がん(肺、頭頚部、食道、胃、大腸、肝、膵、尿路系、乳腺