中央大理工学部教授の高窪統(はじめ)さん(当時45)を殺害した疑いで逮捕された教え子の山本竜太容疑者(28)は事件前、職を次々と変えていた。希望の会社からは解雇され、アルバイトでいいと思っていたところからは正社員に誘われた。自分の希望と現実の厳しさのはざまで揺れ動く様子が、容疑者を知る人の話から浮かんできた。 04年3月の大学卒業後、最初に就職したのは大手食品メーカーだった。豆乳飲料の製造機械の保守管理を担当したが、5月17日付で退職願を出した。 その約8カ月後、ハローワークで見つけたのが、都内の電子情報機器製造販売会社。電子回路の設計などを手掛ける会社で、山本容疑者の希望の分野だった。 入社後、同僚らとの酒の席で、山本容疑者は「この業界に入れて、両親が本当に喜んでくれているんです」と本当に楽しそうに話した。しかし周囲には溶け込めず、酒の席では気を使った会社幹部(55)がいつも隣に座