香港政府は1月30日、スパイ活動や国家機密の窃取などを禁じる「国家安全条例」の制定作業を始めることを発表した。この条例は、中国政府が2020年6月に施行した香港における反政府活動を禁じる「国家安全維持法(国安法)」を補完することを狙ったものだ。 「国家安全条例」は、香港の憲法にあたる「香港基本法」によって、香港政府が制定することが定められている。政府は2002年に制定しようとしたが、自由を脅かされるとして市民が猛反発。翌03年7月に約50万人のデモが起きて、撤回に追い込まれた。 しかし、今回の香港政府の発表を受け、当時のように反対の声は起きていない。すでに「国安法」によって、中国政府が事実上、香港を厳しく統治しており、デモを起こす余地が残されていないからだ。 その旗振り役をしているのが、香港政府トップの李家超行政長官だ。李氏は高校卒業とともに香港警察入り、麻薬や凶悪犯罪、ネット犯罪などの取