カメキチの目 「…やり切れないね。こんなの《業(ごう)》というのかな」 (老いたからか)古典文学、名作・傑作といわれるものを読みたくなったようで、ツレは近松門左衛門の『女殺油地獄』を読み、ため息つきました。 そして、上のような感想にもならぬ感想をつぶやいた。 「業」は仏教の言葉。 だからキリストやイスラムの世界でもつうじる普遍性のある言葉でないのかもしれない。 が、どちらもながい歴史と伝統があり、人間の本質についての深い洞察に満ちた、(私が知らないだけで)「業」に似たような言葉があるのかもしれない。 私はたびたび、「争い」「殺しあい」「戦争」「だまし」「いじめ」…などを書く。 書いては暗い気分になり、ますます「人間嫌い」になっていく(ならば、書かなきゃいいのに。正確には「人間嫌い」じゃなく「社会嫌い」)。 個人のレベルでは、美空ひばりの『愛燦々』の歌のように「人はかわいいもの…」。 愛しい