「斜陽産業の象徴」。四半世紀以上前に新聞記者になる随分前から業界はこう呼ばれていた。だが、昨今の状況の厳しさは、これまでとは比較にならない。広告の激減、インターネットの普及、若者の文字離れに未曾有の大不況が追い打ちをかけ、まさに生き残りを賭けた戦いといえる。 欧米の名門紙が次々と縮小、撤退していく現状に、危機感は募るばかりだが、新聞記者にできることは「いい新聞を作る」の一言に尽きる。 一時的な傾向や感情に流されず、ニュースの本質を突いている▽読者の役に立つ記事があふれている…。「いい新聞」の条件を改めて考えたとき、日々の業務に流され、時として新聞作りの基本を忘れていなかったか、自戒を込めて苦い思いがこみ上げてくる。 駆け出し時代、殺人など本格的な事件はもちろん、交通事故や災害でも犠牲者の顔写真を取るのは当たり前だった。締め切りまでの限られた時間内にいかに顔写真を見つけるか。入手した写