それは奇くしくも、新著『大往生の作法 在宅医だからわかった人生最終コーナーの歩き方』(角川新書)が発刊された、わずか5日後のことであった。 なぜ「奇しくも」なのか。それは今回の不買運動のきっかけとなった成田氏の発言こそが、新著執筆の大きな動機であったからだ。 私は「在宅医療」をおこなう臨床医だ。日頃から高齢者や末期がん患者さんをはじめとした人生終末期を目の前にした人たちと多くの時間を共有している。そして、それらの人たちは、自身の残された時間の短さを自覚しつつも、それぞれに日々を生きている。 そうした人たちと接している私に言わせれば、氏の少子高齢化や社会保障費の増大をめぐる以下の発言は、暴論を超えた、人としての感性が完全に欠落した発言にしか聞こえない。 より問題なのは、同調する意見が多いこと 「唯一の解決策はハッキリしていると思っていて。結局、高齢者の集団自決、集団切腹みたいなものではないか