『言論統制』(中公新書)、『八月十五日の神話』(ちくま新書)などの著作で知られる著者が1993年から2015年までに発表した論文を集めたもの。 著者が一貫して追求してきた「ファシスト的公共性」というものを、「ドイツ新聞学」、「宣伝」、「ラジオなどのメディア」、「思想」、「文化」といった側面から明らかにしようとしたものになります。 主に第二次世界大戦前後のドイツと日本の事例を扱っていますが、「ポスト真実」という言葉が流行する中で、この本の内容は現代ともシンクロしています。それは例えば、「ファシスト的公共性」について述べた序章の次の部分からも見えてくるでしょう。 19世紀の民主主義は、「財産と教養」を入場条件とした市民的公共圏の中で営まれると考えられていた。一方、20世紀は普通選挙権の平等に基礎を置く大衆民主主義の時代である。そこからファシズムが生まれた事実は強調されねばならない。理性的対話に
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