2021.12.22 「湾岸のトラウマ」とはなんだったのか?――『自衛隊海外派遣の起源』(勁草書房) 加藤博章(著者)国際関係論、国際政治史、東アジアの外交・安全保障政策 本書は、自衛隊海外派遣がどのように始まったのかを、アジア・太平洋戦争の終結にまで遡り、その後に行われた、議論や政策を振り返りながら明らかにしたものです。 今年は湾岸戦争終結30周年の年にあたります。湾岸戦争は、日本外交において大きな出来事でした。イラクのクウェート侵攻以降、日本は、多国籍軍への支援を巡って、米国の議会や世論から、その姿勢が後ろ向きであるとして批判を浴びました。この時の日本の経験は、「湾岸のトラウマ」とも称され、その後の日本の国際貢献や価値観外交といった日本の外交・安全保障政策の原点となったとも指摘されています。 「湾岸のトラウマ」論は、その後の日本の外交・安全保障政策における重要な要素となりました。「湾岸