安藤 馨(あんどう・かおる) 2004年東京大学法学部卒業。2006年同大学院法学政治学研究科修士課程修了。専攻は法哲学・道徳哲学。2006年から同研究科助手・助教を経て、2010年 神戸大学大学院法学研究科准教授、2020年 同教授。2021年より現職。著作に『統治と功利』(勁草書房)『法哲学と法哲学の対話』(有斐閣、大屋雄裕と共著)など。 原理に遡ったうえで幅広い分野にアプローチする研究スタイル 私の専門である法哲学には、「悪しき法にも従うべき道徳的義務はあるか?」という有名な問いがあります。 この問いに答えるためには、まず「悪し、とは何か?」を理解するために、道徳哲学や倫理学に遡る必要があります。すると今度は「そもそも道徳とは何か?」を問うメタ倫理学に遡らざるを得なくなる。さらに「世界には道徳が存在するのか?」という形而上学へ。そして「正しい、良いと言うとき、私たちは何をコミュニケー