携帯音楽プレーヤーのイヤホンで大きな音を長期間聴き続けると、雑踏で音を聞き分ける能力が低下する可能性があることを、自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)の岡本秀彦・特任准教授(神経科学)らの研究グループが解明し、2日付の米科学専門誌「プロスワン」電子版に発表した。近づいてくる車の音や、危険を知らせる人の声に気付かない恐れがあり、岡本准教授は「音量は控えめに」と警鐘を鳴らしている。 岡本准教授は留学先のドイツで、20代男女を対象に実験。最大音量で半年にわたり1日2時間以上聴き続けた常用者13人と、聴かなかった13人に映画を見せ、集中力を散漫にさせた。その上で、「ザー」という雑音を交ぜて雑踏に近い状態にし、特定の周波数の音を聴かせ、この音を聞き分けているかを脳に流れる電流の強さで計測した。その結果、常用者の聴覚反応は聴かない人よりも2割程度低下した。雑音を交ぜない状態では、両者に差はなか