水軍の中央は黄旗の毛玠と于禁、前軍に紅旗の張郃、後軍に黒旗の呂虔、左軍に青旗の文聘、右軍に白旗の呂通を配した。陸上の前軍には紅旗の徐晃、後軍に黒旗の李典、左軍に青旗の楽進、右軍に白旗の夏侯淵である。水陸路の接應使には夏侯惇と曹洪、護衛往来監戦使には許褚と張遼となった。 ―『三国志演義』第四十八回「宴長江曹操賦詩 鎖戰船北軍用武」 時は赤壁の決戦の直前、錚々たる魏の名将たちにしれっと混じっているこの"呂通"なる人物。『三国志演義』のこの一ヵ所にしか見られない謎の人物で、僕も昨日ひょんなことから見つけるまで全然知りませんでした。 最初は訳本の誤字だろうと思ってたのですが、『三国志演義』の原文を見てもやはり"呂通"。どの訳本にも"呂通"。渡辺精一先生の『三国志演義人物辞典』にも載っていましたが、しかし「この場面でのみ名前が見える人物」としか書いていない。かの沈伯俊先生の校理本ですら何も触れていま