伊藤穣一氏が辞任したMITメディアラボ「スキャンダルのその後」 問題ある人物から研究費のオファーがあったら、どうする? 下條信輔 認知神経科学者、カリフォルニア工科大学生物・生物工学部教授 米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボへの寄付金の問題をめぐり、伊藤穣一氏が所長職・教授職を辞任したのは2019年夏だった(ITmedia NEWS他各紙、2019年09月08日)。 問題になったのは、札付きの億万長者ジェフリー・エプスタインから巨額の寄付をたびたび受けていたことだ。伊藤氏や一部の教授が寄付金の出所を隠蔽しようとしたばかりか、プライベートでも「不適切な交流」をしていた疑いまで浮かび上がった。きら星のように著名人の名前が登場するこのスキャンダルの経緯と、そこから学ぶべき研究者として教訓を考えてみたい。 伊藤氏は優れたサイエンティストであると同時に傑出した起業家・投資家で、学外でも