『ヘルタースケルター』観賞。 見るつもりなんか毛の先ほども無かったのだが、監督である蜷川実花の写真を見て力の抜ける半笑いとともに映画への興味がわいた。今の今まで意識して蜷川実花の写真を見た事が無かったのだが、街の巨大看板などで「品格とバランスを欠いてギャル化したピエール&ジルみたいだなあ…」と思っていた写真が蜷川の手によるものだと知ったからだ。 ピエール&ジル*1は80年代に活躍した写真家である。「ミカド」や「サンディ&サンセッツ」のジャケット写真などが有名で、インド宗教画などを模倣した色彩感覚と、50年代のコマーシャル写真に顕著な「斜め上をむいてニッコリ」というようなポージングなど、徹底した“キャンプさ*2”が特徴である。彼らが活躍した当時から「写真家」としてカテゴライズすべきかどうか疑問視する声は多かった。撮った写真はあくまで素材で、極彩色の背景やキラキラとしたきらめきは後から書き加え
『STAR WARS エピソードI/ファントム・メナス 3D』鑑賞。 ついに3D化されたスターウォーズの上映がスタートしました。以降、6作目まで随時3D化されて公開されていく、最初の1本目です。 3D化にあたりポッドレースシーンを中心に追加カットがややあったように思えたのですが、まだ細かくは確認出来ていません。3D具合については、そもそも撮影当初から人物以外はほとんどCGで描いているので、3D化への移行も容易であったと思われ、立体感はすこぶる良いです。やはりポッドレースでの狭い場所を高速ですり抜けていくような場面は3Dで見ると臨場感はかなり増します。 内容については知っての通り。解り切った事なのでいまさら何をかいわんや。ボクにとってはスクリーンの大画面にロゴが大写しになりファンファーレが響くだけで充分です。とはいえ。ファンファーレ以降に熱狂するには大人になり過ぎたのか、かなり冷静に鑑賞でき
『死ね!死ね!シネマ』*1も記憶に新しい、日本映画美学校周辺からインディーズ映画がかなり活気づいています。 『へんげ』が現在絶賛公開中です。 メジャー資本の大きな規模の映画がほとんど壊滅状態の近年邦画界において、反比例するようにインディーズ映画が熱気を帯びています。『へんげ』はその中でも特別に重要な作品の1本です。 ボクは古澤監督経由の縁で大畑監督からお誘いをいただき、一足先に試写で見ていました。もちろん非常に面白く鑑賞し、ショッキングかつ壮大なラストにグッと目頭を熱くしたのでした。もの凄くオススメなんですが、これが魅力を伝えるのがムズかしいのです。 序盤、中盤まで「これは良く出来たジャンル映画だなぁ」と見て行くと、ラスト近くにドンッ!と色々な目盛りが跳ね上がるのです。 ほとんど前情報の無い段階で見ていた私は、この跳ね上がりが心底面白く感じたので、これはなるべく多くの人に同じショックを味わ
『J・エドガー』鑑賞。 アメリカ、FBI創設者エドガー・フーヴァーをテーマとした映画。 フーバーといえばクロゼット・ゲイとして有名なワケだが「隠れゲイとして有名」というのは、なかなか切ないものがある。隠してたのに隠している事も含めてバレているのだ。当然、本人によるカミングアウトも無く確たる証拠も無いので、あくまで都市伝説の域を出ない。しかし、40年以上“連れ添った”アシスタントのクライド・トルソンと休暇旅行へ一緒に行ったり、毎日必ず昼食を共にしていたり、2人で仲睦まじくナイトクラブへ行っていたというような状況証拠は揃っているようだ。 脚本を書いたのはガス・ヴァン・サント監督作でゲイをカミングアウトした政治家ハーヴェイ・ミルクをテーマにした『ミルク』の脚本を書いたダスティン・ランス・ブラック。ブラック本人もモルモン教宣教師の父を持ったが故、ゲイである事に苦悶した人物である。その時点で本作が犯
『猿の惑星 創世記』鑑賞。 これは久々に男泣きに燃える映画でした。 SF映画の古典『猿の惑星』前日譚*1でエテ公が人間を支配するにいたった経緯が語られる。予告などで物語らしい物語はほとんど語りきっているのだが、まぁ、要するにアルツハイマーの特効薬開発で動物実験の対象となったチンパンジーが高い知能を得たことで、他の猿たちを率いて暴動を起こし森へ脱走するという話。 オリジナルのシリーズに配慮した“くすぐり”も多く、オールドファンにはニヤニヤできる要素も多いが、いちげんさんにも全く問題無く楽しめる。何だったらこの『創世記』から古いシリーズ5作→ティム・バートン版と見て行くのも逆引き的に発見があり、面白い鑑賞になるだろう。 ただ、元々の『猿の惑星』が孕んでいた人種間の差別や緊張といったメッセージ性は薄い。というか、ほぼ無いと言って良い。旧シリーズとは全く別のところに本作の魅力があるからだ。 主人公
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く