前回紹介した竹本農場の竹本孝彰さんをはじめ、筆者が面会してきたオホーツク沿岸の農家の一人ひとりの農業への取り組みが、自給率1ポイント上昇に貢献したといえるではないか。 新聞のニュースを読みながら、農業国として自立した小清水町や清里町の風景が眼の前に展がって、わけもなく誇らしい気持ちになった。 清里町の小麦の収穫量は、2000年に7854トンだったが、2007年度は1万3374トン。ほとんど変動のない耕作面積の中で、収量はおよそ2倍に増加している。世間で公言される農業の衰退は、少なくとも、オホーツク沿岸の農業国には無縁と認識しなければならない。 データに表れた数字を見て、清里町の町長が語った言葉を思い出し、その一言ごとの確かさを改めて実感することになった。 観光でメシを食うつもりはありません 知床という大観光地を間近にしながら、「観光客の誘致は行いません」と北海道清里町の橋場博町長は静かに語
任天堂創造性の秘密:「主語の無い」宮本茂氏の「ソクラテス的指導」 2007年12月10日 カルチャー コメント: トラックバック (0) Chris Kohler ゲームの神様と仕事をするのはどんな感じだろう? 小泉歓晃氏なら、この質問に答えられる。任天堂『Wii』最大のゲーム『スーパーマリオギャラクシー』のディレクターを務めた小泉氏にとって、情報開発本部長の宮本茂氏は直属の上司にあたる。 『マリオ』シリーズの生みの親である宮本氏は、世界で最も偉大なゲームデザイナーだ。その宮本氏と仕事をする際には、小泉氏によると、しばしば不可解な巨匠の頭の中を、現実のゲームに「翻訳」する作業が求められるという。 それは決して簡単な作業ではない。宮本氏は極端にあいまいな言葉を発することがあるためだ。 ほとんどの企業がそうしているように、任天堂も仕事に電子メールを使用する。しかし宮本氏のメッセージは、これ以上
1951年広島生まれ。81年「さようなら、ギャングたち」が群像新人長篇小説賞優秀作 に。 88年『優雅で感傷的な日本野球』(河出書房新社)で第一回三島由紀夫賞を、 2002年『日本文学盛衰史』(講談社)で伊藤整文学賞を受賞。 » プロフィール詳細 » コラム一覧 2007-09-22 号 高橋 源一郎(作家) 「カラキョウ」と聞いて、最初のうちは、なんのことだかわからなかった。どうも、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』のことらしいのである。 なんでも略すればいいというものじゃないが、それにしても、『カラマーゾフの兄弟』が『カラ兄』とはねえ……と、しばらく呆然とした。 『カラマーゾフの兄弟』とは、長い間(もしかしたら、いまも)、世界文学の№1と目されてきた。長く、深く、巨大な、深淵そのものの小説と思われてきたのである。もちろん、ぼくもそのように教わった。深刻・難解なロシア小説の中でも最
1951年広島生まれ。81年「さようなら、ギャングたち」が群像新人長篇小説賞優秀作 に。 88年『優雅で感傷的な日本野球』(河出書房新社)で第一回三島由紀夫賞を、 2002年『日本文学盛衰史』(講談社)で伊藤整文学賞を受賞。 » プロフィール詳細 » コラム一覧 2007-10-20 号 高橋 源一郎(作家) 今年の文藝賞という新人賞をとった磯崎さんは、四十代で、会社員で、奥さんと子どもが二人という、ばりばりの社会人だ。いうなれば、「若くない新人」である。 ふつう、新人賞に応募しようと思うのは、若い人だ。いちばん多いのは二十代、それから、高校生や大学生を含む十代。そのあたりで過半数を超えるだろう。 「作家」は、有力な就職先でもあるのだ(実は、あまりいい職業ではないのだけれど)。 というか、みんな、そう考えて、応募するのだろう。 同時に、出版社の方も、「若くて未知の新人」を求める。「スター」
第1回 ピンクがあれば、女性にも売れるだろ?:太田百合子の「女性はケータイの“ココ”が気に入らない」 今や国内の携帯・PHSの契約数は1億を突破、人口普及率も81.3%に上り、子供からお年寄りまで日本ではほとんどの人がケータイを持っている。短絡的に考えるとその半分は女性……のはずなのだが、どうして女心の琴線に触れるケータイはこんなにも少ないんだろう。この企画は、そんな素朴な疑問から考えることにする。 私の周りの友人たちを見ていると、女性はケータイをなかなか買い換えないことに気がついた。もう、ほんっとに買い換えない。どうしても欲しい機能があるとか、バッテリーがそろそろダメになったっていうなら話は別だが、まだ使えるのに新機能が出たからといって、すぐ新しい端末に飛びつくような(つまり私のような)女性は、意外と少数派だ。 そんな感じだから、メーカーからしてみればなかなか買い換えない傾向の女性を相手
1951年広島生まれ。81年「さようなら、ギャングたち」が群像新人長篇小説賞優秀作 に。 88年『優雅で感傷的な日本野球』(河出書房新社)で第一回三島由紀夫賞を、 2002年『日本文学盛衰史』(講談社)で伊藤整文学賞を受賞。 » プロフィール詳細 » コラム一覧 2007-10-06 号 高橋 源一郎(作家) およそ考えうるかぎりの正反対の本、というものがある。 たとえば、いま、ぼくの机の上にある「内定請負漫画」と印刷された『銀のアンカー』と「働けと言わないワーキングマガジン」と印刷されている雑誌「フリーターズフリー」の創刊号が、それだろう。 『銀のアンカー』は、あの『ドラゴン桜』で一世を風靡した三田紀房が取り組んでいる新プロジェクト(?)で、前作で落ちこぼれの高校生を東大に合格させた三田は、今度は、就活に励む大学生に超一流企業への「内定」を目指させている。 それに対して、こちらの「フリー
1951年広島生まれ。81年「さようなら、ギャングたち」が群像新人長篇小説賞優秀作 に。 88年『優雅で感傷的な日本野球』(河出書房新社)で第一回三島由紀夫賞を、 2002年『日本文学盛衰史』(講談社)で伊藤整文学賞を受賞。 » プロフィール詳細 » コラム一覧 2007-05-05 号 高橋 源一郎(作家) 現代詩の新人賞として有名な中原中也賞の今年の受賞者が異色の詩人であったことは、もしかしたら書いたことがあるかもしれない。 通例、こういう新人賞の候補作には、現代詩を「お勉強」したようなものが並ぶのだけれど、今年は違った。なんというか、ふだん見たことも読んだこともないものを書いてきた人が一人いたのだ。それが、『みちのく鉄砲店』という詩集で、今年の受賞者になった須藤洋平さんだった。 須藤さんは「トゥレット症候群」という病気と闘っている。そんな病気があることを、ぼくも、須藤さんの詩を読むま
1951年広島生まれ。81年「さようなら、ギャングたち」が群像新人長篇小説賞優秀作 に。 88年『優雅で感傷的な日本野球』(河出書房新社)で第一回三島由紀夫賞を、 2002年『日本文学盛衰史』(講談社)で伊藤整文学賞を受賞。 » プロフィール詳細 » コラム一覧 2007-09-05 号 高橋 源一郎(作家) フルキャストという人材派遣の大手が、派遣が禁じられている業種に登録スタッフを派遣したとして、事業停止処分になった。驚いたのは、そのフルキャストという会社は、監督官庁から、これまでも繰り返し注意されていたということだ。要するに、法令違反していることを承知で、確信犯的に違反行為を続けてきたことになる。 この人材派遣関係の大手といえば、あの訪問介護最大手のコムスンを抱え、不正問題でついに譲渡するはめになったグッドウィルもそう。 どうやら、人材派遣業界には、「法律違反すれすれ」ではなく、「明
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く