1 政治の現状 政権交代から丸3年たち、政局は選挙準備の状態に入っている。政権交代の高揚は遥かかなたに消え去り、政党政治に対する幻滅感だけが広がっている。お先真っ暗の民主党からは、生き残りを図る政治家が次々と逃げ出し、新党への合流を画策している。自民党政権を倒したはずの民主党はもはや政党の体をなしていない。今更これを非難しても詮無いことである。ここでは、まず政権交代がもたらした成果や変化を確認しておきたい。 今から振り返って気づくのは、現代日本においては、民主主義によって選ばれた内閣が統治の主体ではなく、民主党が政権を取ったことによって本来の統治者が結構あわてたということである。私は、陰謀論は好まないし、全体を見渡して支配している単一の権力者が実在しているわけではないと思う。かつて丸山真男が満州事変以後の日本の戦争政策の決定過程について指摘したように、首謀者が壮大な構想を持って戦争を進めた