今回の執筆後記~日本武道館の50年を振り返って みなさまこんにちは。漫画エッセイストのY田Y子です。 漫画エッセイ『人はなぜ日本武道館をめざすのか』。第2回目は私の極めて個人的な立場から、日本武道館の半世紀を振り返ってみました。 私は武道に関わった経験がなく、一般催事の印象がメインになりましたが、今回一番描きたかったのは、この半世紀、世の価値観や流行はまるで川面の水泡のごとく移ろっていったのに、日本武道館は喧騒の大東京のいち建物にして、悠久の時をはらむ江戸城跡の風景に、屋根の緑を深めながら自然に溶け込んでいった――ということでした。 竣工当初、屋根がとても茶色かった事実は、当時の写真は白黒が多かったためかあまり後世に伝わっていませんでした。この事実を描くにあたり尋ねてみた年配の方々も、色に関する記憶はあいまいなことが多く、私は子どものころの記憶――武道館は今より『お寺』の印象を人々に与えて