知の巨人 ベルリンの壁が崩れソ連が解体したのは、1989年から1991年にかけてのこと。その10年も前に、「ソビエト帝国が崩壊する」と、ずばり預言した人物がいた。小室直樹博士。知るひとぞ知る、本物の学者である。 博士は2010年9月に、77歳で亡くなった。それからもう8年も経つ。最近の若い人びとは、名前を知らないかもしれない。なんと残念なことだろう。そこで博士の業績と人物を、みっちり紹介することにしたい。 小室直樹博士は1932年生まれ。母子家庭で貧しかったが、少年時代から人並み外れた才能を示す。福島県の会津高校を卒業し、京都大学理学部数学科に進んだ。 そのあと、大阪大学大学院で経済学を専攻し、フルブライト奨学生としてアメリカに留学、ミシガン大学でスーツに計量経済学を、MITでサミュエルソンに理論経済学を、ハーバード大学でパーソンズに社会学を、ホマンズに社会心理学を学ぶなどして帰国。 東京