喪失と獲得―進化心理学から見た心と体 スポンサード リンク ・喪失と獲得―進化心理学から見た心と体 何の本だろうかこれは?と最初は思った。 でも、とても面白い本だった。 人類はなぜいまのような性質を持っているのかについて、進化論の視点から、多様な考察を行った24編のエッセイ集である。数ページの軽いエッセイから、小論文と呼べる中篇まで形式は多様である。テーマも、言語と意識の誕生、憎悪と信仰、服従心理、病気と自然治癒能力、こどもの教育、政治、歴史と多岐にわたる。 だが、全体を通して一本芯が通っているので、通読することで著者の進化論の総体がパノラマとして浮かび上がる構造になっている。考えさせられることが多い。 ■クオリアの私物化、感覚の進化、単一の自己 脳と意識の進化において「クオリアの私物化というプロセスがあるのではないかという。 クオリアとはこころに浮かぶ感覚のことである。この感覚には次の5