2001年9月11日、わたしは12歳だった。 映画みたいだ、と思いながら遠くで高いビルが崩れるのをテレビで眺めた。 飛行機のプラモデルとレゴのブロックで弟と遊んでるような擬音でしか認識できなかった。ひゅー、どかーん。なんだこれは。何が起きてるの。 詳しいことはわかっていません、というアナウンサーの声を聞きながら歯を磨いた。 朝起きたら世界は少し変わってるんだろう、今日のことはきっと歴史の教科書に載るのだろう、と思って眠りについた。 戦争が起きた。 2011年3月11日、わたしは21歳だった。 「あれ、揺れてる」「うん地震だねー、すぐおさまるでしょう」「…たぶんかなり揺れてるけど」 「これまずいって…」「とりあえず外でたほうがいいよ」「え、そんなに?」 ビルを駆け下りて、渋谷道玄坂の路地裏に出た。 たくさんひとがいて驚いた。このおもちゃみたいなビルの集合体からポンプで吐き出されるように出現し