京都の音楽シーンは、ひとつの転換点を迎えている。 変化は日々肌で感じていたものの、改めてこの10年を振り返ってみたときにあまりの景色の違いに驚かされる。学生が多い街だけあって、シーンの入れ替わりは定期的に発生する。それでもここ1、2年の変化は特に大きい。ただ、変化は急に起きたものではない。気づいたもの、気がつかなかったもの。その萌芽はこの10年の間そこかしこの日常に潜んでいたはずだ。 この8年、この街で起こるさまざまな「今の出来事」を見てきた自分たちだからこそ振り返られるものがある。そう信じ、大それたテーマだが意を決して特集に据えることにした。いつか、誰かがこの10年を振り返ることができる一助にできればと思う。だって、この街の音楽はずっと面白かった。