最近耳にするようになった言葉に「エンタープライズ・アジャイル」というものがある。業務システム(販売管理や生産管理といった大規模な基幹システムのこと)をアジャイル開発するやり方を意味する。そのためにSAFe(Scaled Agile Framework)やDAD(Disciplined Agile Delivery)といった洗練された枠組みが提唱されているが、次から次に登場するこの種の手法論が問題を解決してくれるとは私には思えない。 「エンタープライズ・アジャイル」とことさらに「エンタープライズ」を強調するのは、それまでのアジャイル手法が業務システム開発にうまく適用できていないことを物語っている。じっさい、業務システムとアジャイル手法は水と油みたいなところがあって、業務システムの以下の特性ゆえにアジャイル手法の適用は簡単ではない。 特性1:ドキュメントが必要 複雑巨大な業務システムの可読性や