改正出入国管理法などは、技能実習制度を廃止して新たに育成就労制度を設け、外国人労働者を原則3年で専門の技能があると認められる「特定技能」の水準にまで育成するとしています。 受け入れる分野は、働き手が不足している介護や建設、農業などが想定されていて、これまで原則認められていない別の企業などに移る転籍を、一定の要件のもと同じ分野に限り認めます。 また、故意に納税などを怠った場合は、永住許可を取り消すことができることも盛り込まれていて、付則で、取り消す際には生活状況などに十分配慮するなどとしています。 改正法は14日の参議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党や日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決・成立しました。 立憲民主党や共産党、れいわ新選組などは反対しました。 これに先立ち討論が行われ、反対した立憲民主党の牧山ひろえ氏は「永住資格の取り消しをはじめとする今回の法案は共生社会の芽を摘
技能実習制度を廃止して、新たに設ける「育成就労制度」について、岸田総理大臣は、外国人材の獲得競争が激化する中でも日本が選ばれるように、受け入れ制度の魅力を向上させる必要があるとして、導入に理解を求めました。 外国人の技能実習制度を廃止して、新たに「育成就労制度」を設けることを柱とした出入国管理法などの改正案は、15日に衆議院法務委員会で岸田総理大臣も出席して質疑が行われました。 この中で、岸田総理大臣は「国際的な人材獲得競争が激化する中、働き先として選ばれる国になるよう受け入れ制度の魅力を向上させるとともに、外国人との共生社会の実現に向けた取り組みを進めることが重要だ」と述べました。 また改正案で、故意に税金の未納や滞納を繰り返すなど問題がある場合は、永住許可を取り消すとしていることについて、立憲民主党は「十分なデータに基づいた立法事実がなく、永住許可制度に関わる規定は削除すべきだ」と求め
在留資格がなく、入管の許可を得て一時的に地域で暮らすことができる「仮放免」のクルド人が多く住む、埼玉県川口市の市長が13日、法務省の政務官と意見を交わし、人道的立場から行っている支援の費用を国が手当てするよう求めました。 13日は法務省の中野英幸政務官などが川口市役所を訪れ、奥ノ木信夫市長と非公開で意見交換を行いました。 川口市では、「仮放免」のクルド人が、強制退去が前提なのに長年暮らし続けて子どもが学校に通ったり、病院を受診しても働けないため医療費を払えなかったりするケースが出ているほか、最近は住民とのトラブルも目立つようになっています。 意見交換のあと奥ノ木市長は「財源も権限もおろさず情報も流さない国の対応は困る。市が行っている人道的な支援に対して国が手当てして欲しい」と要望したことを明かしました。 その上で「クルド人と敵対しているわけではないが、違法行為をきちんと線引きしないと住民か
東京都は、外国人にも地域の防犯活動に参加してもらう事業の一環として、外国人の新聞配達員が子どもの見守り活動をするための覚書を新聞社と結びました。 5日、都庁で行われた覚書の締結式には、小池知事や読売新聞東京本社の村岡彰敏社長などが出席しました。 覚書では、外国人の新聞配達員が業務中に泣いたりけがをしたりしている子どもを見かけた場合に声をかけることや、必要に応じて警察などに通報することが盛り込まれています。 取り組みは目黒区と大田区の5か所の新聞販売店で7日から行われ、3か国8人の配達員が見守り活動を行う予定だということです。 都は、昨年度から外国人にも地域の防犯活動に参加してもらおうと、コンビニの外国人の店員に子どもの見守り活動をしてもらう取り組みを始めていて、地域に配達網を持つ新聞社と連携することで取り組みを広げたい考えです。 小池知事は「都内に住む外国人の皆さんにも参加していただくこと
警視庁によりますと、2日午後6時ごろ、JR上野駅でフィリピン人の技能実習生の30代の男性に対し、警察官が職務質問を行った際、在留カードに書かれた在留期限が今月1日までになっていたため上野警察署に任意同行し、出入国管理法違反の疑いで逮捕しました。 この実習生は、期限が切れる前に在留期間の更新などを行う申請を出していたため、「特例期間」として最大で2か月間正規に在留できることになっていましたが、当初「手続きを忘れていた」などと話していたということです。 上野警察署は、警視庁本部の国際犯罪対策課を通じて出入国在留管理庁に照会をかけてこの実習生は“申請を出している”という回答を得ていましたが、見落としていて気付かなかったとしています。 国際犯罪対策課から指摘を受けて誤認逮捕が発覚し、およそ1時間後に釈放して謝罪したということです。 警視庁は「正規滞在の男性を逮捕したことについては大変遺憾であり、再
人手不足の分野で外国人労働者を受け入れる「特定技能」について、政府は自動車運送や鉄道など4つの分野の追加を検討していて、自民党に示しました。 専門の技能があると認められた外国人に与えられる「特定技能1号」は、最長で5年間滞在できる在留資格で、介護や建設、農業など12の分野が対象となっています。 政府は人手不足が深刻で外国人材への要望も強いとして、新たに自動車運送、鉄道、林業、木材産業の4つの分野の追加を検討していて、自民党の特別委員会に示しました。 具体的には、自動車運送ではバスやタクシー、トラック運転手、鉄道では運転士や駅員、車両整備などの業務を想定しています。 政府は来月の閣議決定を目指していて、新たな分野が追加されれば制度が導入されて初めてです。 外国人労働者をめぐっては、政府が人権侵害の指摘もある技能実習制度を廃止して新たに育成就労制度を設ける方針で、特定技能と同じ分野にかぎり受け
政府は技能実習制度を廃止して、新たに「育成就労制度」を設けるとした方針を決定しました。今の国会に関連する法案を提出することにしています。 政府は関係閣僚会議を開いて、有識者会議の最終報告書を踏まえた技能実習制度の見直し方針を決定しました。 それによりますと、今の技能実習制度を廃止して、新たに「育成就労制度」を設け、基本的に3年で一定の水準に育成するとしています。 受け入れる職種は介護や建設、農業など、専門の知識が求められる特定技能制度と同じ分野に限るとしていますが、それ以外の職種についても今後、人材確保などの観点から追加するかどうか検討を進めるとしています。 また、これまで原則できなかった、別の企業などに移る「転籍」も同じ分野に限り認めるとした上で、最初の受け入れ先で働く期間を職種ごとに1年から2年の範囲で定められるとしています。 一方、新たな制度を通じて永住の許可を得る外国人の増加が見込
技能実習制度を廃止して、新たに「育成就労制度」を設けることを柱とした政府の見直し案が自民党の特別委員会で了承されました。政府は今週にも関係閣僚会議を開いて正式に決定する方針です。 政府は、技能実習制度のあり方を検討してきた有識者会議が去年11月にまとめた最終報告書を踏まえ、見直し案をまとめました。 それによりますと、今の技能実習制度を廃止して、新たに「育成就労制度」を設け、基本的に3年で一定の水準に育成するとしています。 受け入れる職種は、介護や建設、農業など、専門の知識が求められる特定技能制度と同じ分野に限るとしていますが、それ以外の職種についても、今後、人材確保などの観点から追加するかどうか検討を進めるとしています。 また、これまで原則できなかった、別の企業などに移る「転籍」も、同じ分野にかぎり認めるとしています。 ただ、自民党内に慎重な意見もあることから、最初の受け入れ先で働く期間を
名古屋市に住むミャンマーの少数派のイスラム教徒、ロヒンギャの男性が、国に難民認定を求めた裁判で、名古屋高等裁判所は、「ミャンマーではロヒンギャに対する民族浄化が行われていて、原告は迫害を受けるおそれがある」として1審とは逆に国に難民認定を命じる判決を言い渡しました。 名古屋市に住むロヒンギャのキン・マウン・ソーさん(44)は、2007年に来日し、これまで難民認定を求めて4回申請を行ってきましたが、いずれも認められず、不認定処分の取り消しと難民認定を求めて訴えを起こしました。 1審の名古屋地方裁判所は去年、「原告はロヒンギャではあるが、そのことで直ちに難民と認められるものではない」として訴えを退けました。 25日の2審判決で、名古屋高等裁判所の長谷川恭弘 裁判長は「原告は軍の方針と真っ向から対立する考えを持っている。ミャンマーではロヒンギャに対する民族浄化が行われていて、迫害を受けるおそれが
全日本病院協会の医療支援チームとして、石川県能登町や穴水町で支援にあたった医師がNHKの取材に応じ、現地では感染症の症状を訴える人が出始めている中、わずかな数の医療従事者しか対応にあたれていないとして、幅広い支援を訴えました。 日本医科大学付属病院高度救命救急センターの部長をつとめる横堀將司医師は今月2日から4日かけて、全日本病院医療支援班=AMATの第1陣のメンバーとして石川県の被災地に入り、医療支援を行いました。 横堀医師によりますと、支援に訪れた石川県能登町の小木中学校には700人を超える人が避難していたほか、周辺の施設にはさらに3000人以上が避難していたということですが、地域の開業医1人で、病気の人や高齢者の対応にあたっていたということです。 携帯電話やインターネットもつながりにくく、水や食料も不足する中、発熱や下痢といった感染症が疑われる症状を訴える人が増えているということで、
今回の能登半島地震では日本で働く外国人も被害を受けました。中には避難所に入れず、水や食料が確保できない人もいて支援を訴えています。 石川県珠洲市で5年前からイカ釣り漁船に乗っているインドネシア人のドゥイキ・アンディリアント・プラコソさんは(26)地震が起きた直後、津波の被害を免れるため、18人の仲間と走って高台に避難しました。 そこでは寒さをしのぐため、車の中に避難していた地元の人から薪をもらい、たき火をして夜を明かしたということです。 その後、避難所に行ってはみたものの、仲間と一緒に入ることが難しかったため、ふだん暮らしている寮に戻ったということです。 ドゥイキさんは「水と食料が底をつきそうで不安です。いまも余震が続いて怖いので安全な場所で過ごしたい」と話していました。 東京のインドネシア大使館によりますと、現在、石川県内には1315人のインドネシア人が暮らしていて、これまでに164人か
岡山市出身の作家、内田百※けんの代表作、「阿房列車(あほうれっしゃ)」の自筆原稿が新たに見つかり、市内の文学館に寄贈されました。 ※けんの漢字は、門がまえの中が「月」 見つかったのは、内田百けんが鉄道に乗ることのみを目的に全国各地を訪れ、その道中をユーモアあふれる筆致で記した代表作「阿房列車」シリーズのうち、島根県の松江を訪れた「山陰本線阿房列車」と、一連の旅の最後で九州を訪れた「不知火阿房列車」の自筆原稿あわせて243枚です。 岡山市北区の吉備路文学館によりますと、ことし10月、青森市の女性から「百けんの原稿があるので、出身地の岡山に寄贈したい」と連絡があり、鑑定したところ自筆原稿だとわかりました。 原稿は、白地にオレンジ色のマス目の旧国鉄の用紙に書かれ、右上を紐でくくった状態で保存されています。 百けんが文章を書いたあと、ことばを繰り返し推こうした跡が残されていて、1枚目の用紙には原文
政府が日本で生まれ育った在留資格のない外国人の子どもに一定の条件を満たせば日本での滞在を認める「在留特別許可」を与える方針を示したことを受けて、茨城県内に住むスリランカ人の親子に17日、許可が出されました。政府の新たな方針によって許可が出された個別のケースが明らかになるのは初めてとみられます。 日本で生まれ育っていても在留資格がない小学生から高校生の外国人の子どもについて、政府はことし8月、親に国内での重大な犯罪歴がないなどの一定の条件を満たしていれば親子に「在留特別許可」を与え、滞在を認める方針を示していました。 この方針を受けて、茨城県内に住む在留資格のないスリランカ人の7歳と5歳の男の子とその両親に17日、「在留特別許可」が出されたことがわかりました。 許可を受けた親子は両親が2012年に技能実習生として来日し、その後、母国に帰ると政治的な対立で身の危険が及ぶおそれがあるとして難民申
外国人の技能実習制度の見直しを検討している政府の有識者会議は、新たな制度が人材の確保と育成を目的とすることから名称を「育成就労」とする案を示しました。 外国人が最長で5年間、働きながら技能を学べる技能実習制度では失踪者が相次いでいることなどから、政府の有識者会議は今の制度を廃止して新たな制度をつくることを検討しています。 15日開かれた会議では、新たな制度が人材の確保と育成を目的とすることから名称を「育成就労」とする案が示されました。 また、別の企業などに移る「転籍」を認める要件について、最終報告書のたたき台では受け入れ先で働いた期間を「1年以上」としていましたが、地方から都市部への人材流出を加速させかねないなどの懸念があることから、新たな条件を加えて当分の間は「2年以内」に延ばす案が出されました。 有識者会議は年内に最終報告書をまとめ、小泉法務大臣に提出する方針です。
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