『沖縄(シマ)という窓 クロニクル2008―2022』山城紀子、松元剛、親川志奈子著 岩波書店・2420円 ジャーナリストと若き研究者の3人の射手が、沖縄が抱える構造的差別と不条理をリレー形式で見事に射貫(いぬ)いた「直近14年間の沖縄の年代記(クロニクル)」である。 本書は2008年から雑誌『世界』(岩波書店)で始まった書名と同じ連載を、一冊にまとめたものである。自己決定権、普天間問題、オスプレイ配備、オール沖縄の誕生、戦後70年、米兵犯罪、1千万人観光時代、首里城焼失、コロナ感染拡大、五輪初金メダル、復帰50年――。戦後78年間に「変わる沖縄、変わらぬ沖縄」が、毎回見開き2ページの読み切りコラムで展開されている。 この国の中で、沖縄が果たす役割は何か。米外交官で歴史学者のG・H・カー(Kerr)は「日本にとって琉球は単に軍事的な前線基地」かつ「一種の植民地」であり、「日本が非常な苦境に