たったの3球だった。ライオンズに入団後、ホークス、イーグルスと歩み、その間に5度に渡る日本シリーズ出場。その栄光の経験を買われ昨シーズンよりマリーンズの一員となり2020年シーズンをもって19年間に渡るプロ野球人生にピリオドを打った細川亨捕手の原点は新人時代に味わった3球の悔しさだった。 「恥ずかしかったし、悔しかったです。でも練習するしかない。そう思いましたね」 そう言って、高知県春野で行われていた1年目の春季キャンプの苦い思い出を振り返った。即戦力捕手として自由獲得枠で期待されてライオンズに入団。キャンプでは、いきなりブルペンで主力投手陣のボールを受ける機会に恵まれた。とはいえプロと大学ではレベルに雲泥の差があった。キレのある変化球がなかなか上手くミットに収まらない。当時、ライオンズの主力だった石井貴投手相手にボールを受けている時だった。3球受けた時に「代われ」と捕手変更を指示された。