彼女は裸で、俺の横で眠っている。 寝息を立てて、心地良さそうに。 俺はプログラマーで、決して優秀ではないが、人並みに仕事は出切ると思っている。 ゼロから何かを生み出すことは出来ないが、コードを見ればどのような動作をするのか大体想像がつく。 だから既製のコードを応用することで仕事をしている。所謂リバースエンジニアリングというやつだ。俺はそれが得意なのだと思う。仕組みが原理に還元されるような、そうした一連の流れには耽美ささえ感じられる。 俺は彼女の裸体を眺める。 付き合い始めて二年になるが、彼女のことを芯から理解できているとは思っていない。 心の底では何を思っているのか。 俺と会っていないときにはどうしているのか。 不安になるときがある。 もしも今ここにメスがあって、彼女のお腹を縦に切り裂き、ピンク色の肝臓や、規律よく波打つ心臓を見れば、彼女のことがより理解できるのかもしれない。 規律は調和だ