第8波になっても、救急搬送困難事例は後を絶ちません。新型コロナの感染者数はじわじわと増えていますが、大量の発熱患者さんが救急受診して医療が逼迫していることだけが理由ではありません。救急医療の逼迫の根本にあるのは、病院の構造的な問題です。 「発熱、酸素飽和度が低下した80代男性です」救急隊から病院にこういう連絡が入ります。かかりつけの病院がある場合はそこに搬送の相談が来ますが、かかりつけの病院がない場合は、救急告示をしている大きめの病院や、地域で定められている当番順へ搬送の受け入れを要請していきます。 第4波あたりから問題視されていましたが、現在、日本全国で救急搬送がうまく回っていません。軽症者が増えているにもかかわらず、第8波になってもいまだに救急搬送困難件数が高止まりを続けています。 コロナ禍以降、救急搬送困難件数は波を経るごとに増えていき、全体の約3分の1が新型コロナ疑い事案となってい